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政策解説 ストップ患者負担増(2) 漢方薬や風邪薬は10割負担に

2014.11.05

 政府が進めようとしている患者負担増計画の内容について、政策解説をシリーズで連載している。今回は、「市販類似薬品の保険適用除外」をみていく。
 

たびたび浮上する市販類似薬の保険外し

 「市販類似薬品の保険適用除外」とは医療機関で処方されているが、薬局でも処方せんなしで購入できる医薬品を保険から外すというものである。対象となる医薬品は、具体的には、湿布薬、うがい薬、ビタミン剤、漢方薬、総合感冒薬などである。
 こうした制度改悪は以前から議論されており、発端は93年12月、旧厚生省の医療保険審議会が当時の厚生相宛てに、「一般用医薬品類似医薬品の保険制度上の取り扱い」を検討する必要があるとの建議書を提出したことに始まる。
 これに対し、協会、保団連をはじめ、多くの医師や患者が反対運動を展開し、制度改悪を食い止めた。
 再度この制度改悪が提案されたのは、2009年から始まった民主党政権下での「事業仕分け」である。09年11月の仕分けで「市販品類似薬を保険外とする方向性」が示され、11年11月の仕分けでは「自己負担割合の引き上げの試行」や「一部医療保険の対象から外すことについても検討」という結論が出された。
 これを受け、12年度の診療報酬改定では「ビタミン製剤について『単なる栄養補給の目的』での投与は算定不可とする」とされた。しかし、この際も国民的な反対運動で、全面的な制度改悪を阻止した。
 今回の診療報酬改定でも、保団連・協会をはじめ医師会や健保連からの批判を押し切って、「治療目的でなく、うがい薬のみが処方される場合については、当該うがい薬に係る処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料、調剤技術基本料を算定しない」とされ、うがい薬が保険から外された。
 今回の改悪案は、こうした歴史的な流れの延長であり、今年5月に財政制度等審議会財政制度分科会がまとめた報告書「財政健全化に向けた基本的考え方」に、「湿布、漢方薬など市販類似薬品の更なる保険適用除外を進める必要がある」と盛り込まれたものである。

医療の公平性と安全性を脅かす

 この制度改悪が実施されれば、患者の間違った自己診断に基づく市販薬の使用による治療を促し、病状の悪化を招くもとになる。医師による早期診断と早期治療が損なわれ、取り返しのつかない事態を招く可能性も否定できない。
 また、病院・診療所に受診した場合でも、今までは保険適用されていた医薬品が自己負担になれば、患者に、原則3割負担という高率の窓口負担に加え、さらに多大な負担を強いることになる。これでは、低所得者は安心して医療機関を受診できず、格差社会の中で、受診抑制をさらに加速させるものとなる。
 さらに、この制度改悪は、公的医療保険の給付範囲の縮小を進めるものであり、国民皆保険を崩壊させる突破口となりかねない。
 国は、元来医療用医薬品として使われていた成分を含む医薬品の、一般用医薬品への転換を進めている。この流れがさらに進めば、保険外の医薬品が増え、結局医薬品は国民皆保険外となりかねない。
 こうした不公平性と危険性をはらむにもかかわらず、政府がこの制度改悪に固執し続ける理由は、医療費の抑制のためである。12年度改定で行われたビタミン製剤の保険外しでは約164億円、今次改定で行われたうがい薬の保険外しでは約61億円の医療費抑制となると言われている。
 結局、政府が行おうとしているのは、医療費抑制のために、患者に負担を押しつけ、適切な医療へのアクセスを奪うことであり、許すことはできない。

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