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政策解説 ストップ 患者負担増(3) 入院時の食費が倍に

2014.11.15

 政府が進めようとしている患者負担増計画の内容について、解説シリーズ第3回目は、「入院時食事療養費の自己負担引き上げ」をみていく。

食事療養費の7割を自己負担に

 現在、一般病床や精神病床に入院している人や65歳未満の人は、入院時の食材費として1食につき260円、1日あたり780円を自己負担している。今回、政府の社会保障審議会医療保険部会では、この自己負担を1食460円、1日あたり1380円に引き上げる方針が示されている。
 診療報酬上、医療機関は「食事療養費Ⅰ」を算定しているが、その額は1日あたり1920円となっている。患者負担は現状でも4割以上となっているが、今回の制度改悪により71.8%にも上ることになる。
 この制度改悪が実施されれば、1カ月入院した場合、これまで2万3400円だった自己負担が、4万1400円と2倍近くに引き上げられる。
 実際、腎臓病患者約9万人で組織する日本最大の患者会である(一社)全国腎臓病協議会(全腎協)にはこの改悪案に対して、全国から「1カ月も入院したら、年金のほとんどが食費に消えてしまうことになる。これではとても生きていけない」「医療や介護の保険料は増える一方なのに、年金は減額されている。入院食費負担が増えたらもう限界」など、切実な声が寄せられている。

引き上げ続く患者負担

 政府はこの間、立て続けに入院時の食費などの患者負担を引き上げている。1994年に600円(3食)の自己負担を導入し、その後、96年には760円、2000年には780円と引き上げを進めてきた。06年には、療養病床に入院する患者を対象に「ホテルコスト」と呼ばれる食費と居住費の自己負担を導入した。
 今回の制度改悪も含め、入院時の「ホテルコスト」を自己負担とする理由として厚労省は、「在宅患者との公平性」を挙げている。在宅患者との公平性をいうのであれば、入院患者の負担を在宅患者の負担に合わせるのではなく、小松龍史日本栄養士会会長も指摘するように「むしろ、在宅療養でも適切な栄養管理指導が受けられるようにすることこそ必要」である。

患者給食は医療の一環

 そもそも入院患者への給食は、医療の一環である。
 社会保障審議会医療保険部会で松原謙二日医副会長は「治療食としての病院の食事は大変重たいものであります」、小松龍史日本栄養士会会長も「栄養状態が悪いと術後の回復も遅く、免疫力も低下し、感染症を起こしやすくなります。予後を良くする上でも入院時の食事療養は非常に大事です」と述べている。

病院追い出しと医療費抑制狙う

 現在、入院時の食費に対する公的保険の給付額は年間約4800億円。今回の制度改悪は、単純計算でこのうち2526億円を自己負担にし、公的保険の給付額を抑制することになる。
 さらに、社会保障審議会医療保険部会で厚労省の担当者は「わが国の平均在院日数はかなり短くなってきたとはいえ、国際的にはまだまだ長い水準にございます。そのような中で...政府は在宅療養との公平を確保する観点から、入院に関する給付の見直しを検討するということになっております」と述べている。これは、入院時の食費負担を増やすことにより平均在院日数を減らす、つまり、負担を増やして患者に早期退院を余儀なくさせるという、思惑を述べたものである。
 政府・厚労省は「入院時の食事療養を医療の一環」とする専門家の意見に耳を傾け、医療費抑制のための病院からの患者追い出しをやめるべきである。

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