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選挙特集 争点解説(上) 「アベノミクス」−粉飾の景気回復

2014.11.25

 安倍首相は11月19日、衆院解散を表明した。これに伴い12月2日公示、14日投開票の予定で総選挙が行われる。今次総選挙の争点解説を2回にわたり行う。第1回は「アベノミクス」の是非を問う。次回は、社会保障改悪を取り上げる。

 今回の選挙では、与野党ともに、最も大きな争点のひとつとして「アベノミクス」の是非を掲げている。
 安倍首相はオーストラリアで開催されたG20で「安倍政権が3本の矢で経済政策を力強く進めてきた結果、経済の好循環が生まれ、デフレ脱却に向けて着実に前進し、成長力を回復しつつある」とアベノミクスの成果を強調している。

実質GDPが大幅マイナスに

 では、安倍首相が言うように本当にアベノミクスで経済は好転しているのだろうか。国民生活は豊かになったのだろうか。
 2014年7〜9月期の実質GDPは年率換算で前期比マイナス1.6%となり、4〜6月期のマイナス7.1%に引き続き、2四半期続けてマイナスとなった。
 4〜6月期のマイナスについて、政府は当初、消費税増税前の駆け込み需要の反動減だと説明し、7〜9月期では、プラス成長になるとしていた。しかし、この期待は裏切られる格好となった。

そもそもうまくいっていないアベノミクス

 表はアベノミクスの前後で統計のそろっている2012年と2013年を比較したものである。
 これによれば、確かに法人企業経常利益は大幅に増加しているが、一方で、正規雇用者数は減り、勤労者世帯の収入もほぼ横ばいで、増加率も落ちている。さらに物価指数も上がっており、実際の生活は良くなるどころか苦しくなっていることが明らかである。

第1の矢の失敗

国民に届かない日銀マネー

 アベノミクスの第1の矢は「大胆な金融政策」と称されるもので、日銀が民間金融機関に供給している資金(=マネタリーベース)を増やすことによって、民間金融機関の貸し出しなど市場に供給される資金(=マネーストック)を増やし、民間消費や企業の設備投資を増やすというものである。
 しかし、マネタリーベースをいくら増やしても、実際に市場に供給されているマネーストックは全く増えていないのである(図)。
 日銀がどんなに金融緩和を行っても、実際の資金需要がないために、貸し出しは増えず、景気は好転していない。
 行き先を失った資金は、金融市場に流れ、株高、円安を招いた。株価が上がること自身は悪いことではないが、利益を得るのは、株式を大量に保有する大企業や富裕層にとどまる。一方の円安も輸出大企業の業績には貢献しているが、生活必需品などの物価高を招いており、国民生活を苦しいものにしているのである。
 つまり、大企業や富裕層は「第1の矢」の恩恵を受けているが、多くの国民はむしろ被害をこうむっているのである。

第2の矢の失敗

無駄な公共事業を推進

 第2の矢は「機動的な財政出動」と銘打っているものの、その実態は不要不急の大型公共事業の推進である。
 確かに表にあるように、2013年の実質GDP成長率のうち、0.5%は公共投資によるもので、経済成長を下支えする効果はある。しかし、逆に言えば、政府による公共投資がなければ、経済成長率は1%であり、前年の成長率を下回ったといえる。
 つまり、依然として民間の需要は増えておらず、自律的な景気拡大は起こっていないのである。さらに、公共投資の原資は税金や国債発行によりまかなわれているので、いずれ限界を迎えることは明らかである。

第3の矢の失敗

規制緩和は格差広げる

 第3の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」であるが、規制緩和をさらに進めるものである。医療分野では「患者申出療養」の創設や国家戦略特区の指定など、労働分野では雇用ルールの規制緩和を進める一方で、大企業向けには法人税減税を行おうとしている。
 こうした政策が、経済成長を促進するどころか、貧困をもたらし、国民の生活を破壊することは、小泉政権下で起こった格差社会の拡大、医療崩壊などからもすでに明らかである。

社会保障を充実し、自律的な経済成長を

 では、国民を豊かにする真の経済成長のためにはどのようにすればよいのか。それは、これまでの自民党がとってきた政策とは逆に、賃上げと正規雇用の拡大、社会保障の充実で国内の消費力を抜本的に引き上げることである。そうすれば、国内市場が活性化し、公共事業による下支えなしに経済が拡大する。
 そして、賃上げと雇用拡大、社会保障の充実のための財源は大企業に眠っている。大企業はこの20年間で80兆円も利益剰余金を積み増し、さらに、アベノミクスにより空前の利益を上げている。これは、法人税の相次ぐ減税や、正社員をリストラし、非正規雇用を増やして得たものである。
 大企業はこの資金を税金や賃金の引き上げ、正規雇用の拡大で社会に還元すべきである。
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