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「地域医療構想」兵庫県で議論開始 2025年 最大2600床の削減

2015.10.15

 2025年の県下の病床数は−。2014年に成立した医療・介護総合法により、都道府県に策定が義務付けられた「地域医療構想」を策定するための議論が兵庫県でも始まった。8月21日に県医師会館で行われた第19回兵庫県医療審議会保健医療計画部会では、厚生労働省が作成した「地域医療構想策定ガイドライン」(以下、ガイドライン)に基づき算出された2025年の必要病床数が報告され、2025年までに県下で最大2591床の病床削減が必要との試算も明らかになった。議論の問題点をみていく。
 

医療実態見ない「ガイドライン」

 地域医療構想は、「ガイドライン」に基づいて都道府県が、「2025年の医療需要と病床の必要量」などを2次医療圏単位で策定するとされているが、「ガイドライン」で示された推計方法には問題が多い。
 高度急性期、急性期、回復期の推計方法は、現状の入院受療率を2025年の人口推計に当てはめただけのもので、現在入院が必要な人はすべて入院しているという前提に立っている。しかし、経済的理由、病床の都合等で入院待ち、早期退院を余儀なくされるなどさまざまな要因で、入院ができないという現状がある。
 慢性期では、療養病床の入院患者のうち最も症状が軽いとされる患者の7割を在宅にするとしているが、これらの中には、重度意識障害や癌ターミナルなど重症者も含まれている。
 さらにガイドラインは、慢性期病床全体も「全ての構想区域の入院受療率を全国最小値まで低下させる」としており、各地域の実情を無視して病床削減計画が進められる可能性がある。

県下の「必要病床数」

 県の部会で明らかにされた試算では、県全体で最大2591床が過剰とされ、神戸、阪神南の医療圏を除く全医療圏で病床が過剰になるとされている(下表)。
 しかし、現在でも医師不足に悩む地方では、病床を稼働させられない医療機関も多い。こうした状況を無視し、さらに病床を削減すれば、入院したくてもできない、医療難民を今以上に生んでしまう。
 部会では「在宅医療等」の推計も出され、2025年には、13年に比べて訪問診療で療養する患者数は1日当り3万1941人増えるとされている。当然、在宅医療を担う医師や介護施設、スタッフが必要となるが、今後10年間で整備することは可能だろうか。
 部会では、一部の委員から「医師を養成しないといけない」などの意見も出され、事務局を務める県も、但馬医療圏について「広大な圏域面積における在宅医療人材の確保」、淡路圏について「高齢化の著しい在宅医療の担い手の新たな確保」などを「特に検討を要すると思われる項目」として挙げている。
 県には、厚生労働省のガイドラインをそのまま地域に押しつけるのではなく、地域の患者、住民、医療従事者の声を聞いて、医師養成の必要性や必要な病床数、医療費や介護費の引き上げを政府に求めていく姿勢こそ求められている。
 今後、より身近な2次医療圏で議論が始まる。協会では地域に必要な医療提供体制を整備するために、各支部を中心に地域医療を担う会員の声を集約し、関係機関に届ける。
 

表 ガイドラインにもとづく2025年に必要な病床数の推計

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