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政策解説(2) 医療にはゼロ税率を 協会政策部

2015.11.15

診療報酬引き上げ 消費税ゼロ税率
二つの署名 取り組み中です ご協力を
 協会は国民医療を充実し、医療機関の経営を守るために、診療報酬プラス改定と患者負担軽減、消費税ゼロ税率を求める、二つの会員署名に取り組んでいる。前号に用紙を同封し、ファックスでも協力を呼びかけたところ、11月11日までにそれぞれ331筆と326筆が寄せられている。集まった署名は11月19日、厚生労働省や財務省、国会議員などに提出を予定している。返信がまだの先生は、ぜひ協会FAX078-393−1802までお送りいただきたい。

 公的医療保険による医療費にかかる消費税は、非課税とされている。一方で、医療機関は、消費税分が上乗せされた医療機器などを仕入れているが、受け取る診療報酬は公定価格のため、他の事業者のように消費税分を転嫁できず、損税となっている。この損税は医業経営に甚大な影響を与えている。経営規模の大きい医療機関ほど影響は大きく、職員の待遇引き下げはもとより、不採算部門の縮小や必要な設備投資の見送りなどが行われている。
 政府は、2017年に消費税率を10%に引き上げるとしているが、医療機関の損税に対しては、何の対策も示されていない。
 これまで政府は「診療報酬で補填している」としてきた。しかし、診療報酬は実質マイナス改定が続いており、消費税補填分は技術料の引き下げを一部緩和しているにすぎない。もともと診療報酬自体が不合理に引き下げられており、これでは納得のしようがない。「診療報酬で補填されている」との主張を、真に受ける医療機関があると、政府は信じているのだろうか。
 消費税はこのように医療機関の経営を脅かす税制であり、協会は消費税そのものについても反対だが、少なくともゼロ税率を導入して、医療機関の損税を解消することを求めている。
 政府は、10%増税を実現する前提として軽減税率の導入を検討している。ヨーロッパの付加価値税では、食料品や新聞などにはゼロ税率が適用されていることが、マスコミでも報道されている。たとえば、イギリス、アイルランドの食品やデンマーク、ベルギー、イギリスの新聞などである。
 日本国民の生存権保障にかかわる医療は、究極の軽減税率である、ゼロ税率を適用すべきである。ゼロ税率は、決して空想的な制度ではない。日本でも、輸出品には免税制度が認められている。これは輸出品は、最終消費者に消費税を転嫁できないとして、仕入れの際に輸出企業が払った消費税分を還付する事実上のゼロ税率である。ゼロ税率は日本でもヨーロッパでも実績のある税制なのだ。
増税は法人税減税と国債発行の軽減のため
 政府は軽減税率導入にあたって、財源の不足については、予定していた社会保障の充実を見送ることで対応するとしている。一方で安倍首相は、2017年度には法人税を20%台まで減税するとしている。消費税増税は法人税減税のためである。社会保障財源の一部にすぎない消費税収を全て社会保障費と結びつけ、社会保障充実と消費税増税を天秤にかける論理は、国民だましの常とう手段である。
 また図は、財務省による「消費税増収分の使途について」の説明である(2015年度・2018年度分)。財務省は、「消費税増収分は、全て社会保障の充実・安定化に向ける」として、その内訳を示したものだが、ここにも国民だましの説明が行われている。10%増税が行われれば、そのうち7.3兆円(増税分の5割超)は、「後代への負担のつけ回しの軽減」にあてるというのだ。
 「後代への負担のつけ回し」とは何のことか。税と社会保障の一体改革で出された「国民会議報告書」では「(社会保障の)かなりの部分は国債によって賄われるため、将来世代の負担になっています」と説明されている。「後代への負担のつけ回し」とは、国債発行のことであり、その「軽減」とは国債発行を減らしてその分の財源を消費税増税で賄うということである。しかし、国債発行の原因を社会保障にだけ転嫁するのはごまかしである。政府全体の収入が支出に対して不足しているため、国債発行を行っているのであって、社会保障だけを取り出して国債と結びつけるのは間違っている。
 また、基礎年金への国庫負担にあてるという3.2兆円も、国民だましである。2005年の年金改革で、すでに「基礎年金の国庫負担引き上げのため」として、公的年金控除140万円が120万円に引き下げられ、50万円あった老年者控除も廃止されているからである。このときの財源は一体どこへいったのか、財務省は明らかにすべきであろう。
 「財政再建を」というのであれば、歳出についても見直すべきだが、新東京オリンピックでは数兆円にも及ぶともされる建設費投資計画もある。
 法人税減税・大企業優遇税制を改め、ムダな公共事業歳出をやめれば、消費税増税は必要なく、さらに医療にゼロ税率を導入することは可能である。
 院長署名を政府につきつけ、今こそゼロ税率を実現するチャンスにしよう。

図 消費税増収分の使途について
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