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主張 本当の狙いは「目に見えないもの」  −TPP「賛成6割」を考える

2015.11.25

 先月「大筋合意」したTPP(環太平洋経済連携協定)。マスコミは、安価な輸入農産物の輸入増による国内農業への影響や輸出増が望めるとされる自動車などについてばかり報じているが、TPPの本質はこうした関税の引き下げではなく、目に見えない「非関税」分野にある。
 実際、TPP協定文書30章のうち、関税に関する章は「2 物品の貿易」「3 繊維及び繊維製品」など5章くらいで、その他20数章は投資、サービス貿易、知的財産などの条項が並んでおり、この関税以外の分野に国民生活に直結する医療や金融が含まれている。
 TPPに含まれるISD条項は、投資先の国や自治体の規制によって、進出企業に不利益が起こったと判断した場合に、投資先の国や自治体に対して損害賠償を求めることができる制度である。政府は「公的医療保険は交渉の対象となっていない」と説明しているものの、多国籍企業からの医療分野の市場開放要求や過大な損害賠償につなげられ、混合診療解禁や医療への営利企業の参入につながり、国民皆保険制度が破壊される恐れがある。
 さらに、TPPには「ラチェット条項」という、一度行った規制緩和は元に戻すことができないという条項も盛り込まれている。これにより、日本国民が森に迷い込んで(規制緩和をして)、間違いに気が付き引き返そうとしても、決して引き返せず、深い森に迷い込んだままとなってしまう危険性があるのだ。
 しかし、こうした事実をマスコミが報じない。ジャーナリストの堤未果氏は、政府から強い圧力がかかっているからと指摘する。
 朝日新聞の世論調査では、TPPへの参加について「賛成」が58%となっているが、このような本質が明らかにされていないのだから致し方ない。
 TPPは経済のルールをつくる協定なので、得をする者と損をする者が必ず存在するが、後者は私たち医療従事者や農業従事者、一般の国民である。
 日本人が営々として築き上げた、WHO(世界保健機関)も世界一と認める大切な宝物、国民皆保険制度。われわれは、後世にアメリカ型医療ではなく、この日本型医療を残さなくてはならない。それが責務であろう。承認手続きが行われる来年1月の通常国会開始までに、改正に50年以上も要した日米修好通商条約よりも不平等といわれる、TPPの見えない部分を明らかにし、知らせる努力を継続したい。

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