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「2015年受診実態調査」結果 治療中断「あった」5割 受診抑制さらに強まる

2016.04.15

協会はこのほど「2015年受診実態調査」結果をまとめ、報道関係に公開した。「経済的理由による治療中断があった」との回答はほぼ5割で、前回2010年の4割から約10ポイント増え、受診抑制がさらに深刻になっていることが明らかになった。小児科では、逆に治療中断は「なかった」が7割を超え、中学3年生まで無料など子ども医療費助成制度の広がりが、受診抑制の緩和に大きく役立っていることがうきぼりになった。

 調査は、全国保険医団体連合会が政府の患者負担増施策による影響を明らかにしようと全国の協会に提起したもの。2010年に初めて取り組まれ、今回は2回目となる。兵庫協会では昨年12月に医科・歯科正会員に実施し、医科382件、歯科160件、計542件の返信を集計した。
 「この半年間に、主に患者の経済的理由によると思われる治療を中断する事例がありましたか」との設問に対し、「あった」は260件、48%だった。前回の37%からさらに約10ポイント増加した(図1)。
 治療中断があっても、その原因が「経済的理由による」ものかどうかは不明である場合は少なくないため、「わからない」との回答が約3割にのぼっている。しかし、2010年と2015年では、「わからない」との回答は同程度だが、「あった」との回答は、医科で33%から44%へと10ポイントも高くなった。
 歯科も同様で、「わからない」は医科と同じく3割だが、「あった」との回答は、48%から57%へと、やはり10ポイント近く上昇した。「あった」との回答が医科よりも、10ポイント以上高いことも特徴で、受診抑制傾向がより強くあらわれている。
 小児科系は、治療中断が「なかった」との回答が7割でずば抜けて高く、全体とは逆の傾向を示した(図2)。小児科では慢性疾患が少ないという事情もあるが、「この半年間に、医療費負担を理由に検査や治療を断られたことがありましたか」との設問に対し、小児科系で「なかった」が8割に及んでいることから、医療費助成制度の広がりが受診抑制を緩和しているとみられる。
 前回調査は、標榜科目をたずねていないため、正確な比較はできないものの、2010年時点で3市町だった「中3まで無料」の自治体は、2015年に30市町と、5年間で10倍となっている。
(詳報次号)

図1 治療中断「あった」医科44%、歯科57%に
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図2 小児科治療中断「なかった」7割 
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