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主張 「口腔崩壊」を食い止め歯科医療危機解決に取り組もう

2016.04.25

虫歯や歯周病を長期に放置していたために起こる「口腔崩壊」が社会問題になっている。4月3日発刊のサンデー毎日では「口の中から見える格差と貧困 子どもから老人まで広がる口腔崩壊って何だ!」という特集が組まれ、治療費が払えず歯科治療にかかれない貧困層の実態が報道された。
 保団連が昨年暮れに行った全国調査「2015年受診実態調査」でも、この半年間の経済的理由と思われる治療中断を問う設問に、51.7%(兵庫県では56.9%)の歯科医院が「あった」と答えている。とりわけ兵庫県では5年前の同調査に比べ10%近く増加しており、深刻である。
 「口腔崩壊」を引き起こしている原因は、政府の社会保障費抑制政策による患者負担増と、近年の格差・貧困社会の進行である。前述の保団連調査でも、歯科での中断事例の病名のトップは窓口負担の高い「歯冠修復・欠損補綴」であり、経済的理由による歯科受診抑制の実態の一端がうかがい知れる。「口腔崩壊」の影響は、口腔内にとどまらず、全身の健康状態に悪影響をもたらす。安倍政権には、さらなる患者負担増計画を撤回し、社会保障の拡充で貧困・格差社会の是正を行うよう求める。新たな「ストップ! 患者負担増」請願署名への取り組みをさらに強めよう。
 「歯冠修復・欠損補綴」の担い手である歯科技工士の窮状はとりわけ深刻である。昨年保団連近畿ブロックが行った歯科技工所アンケート調査では、半数以上の歯科技工士が週70時間を超える労働をしており、しかも、57%が可処分所得300万円以下である。低収入・長時間労働が、若手歯科技工士の離職率8割という、異常な事態を引き起こしている。
 このままでは歯科医療が成り立たなくなってしまう。保団連と「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会は、先月厚生労働省と歯科技工問題について話し合いを持ったが、国の具体策は聞くことができなかった。診療報酬改定においても、解決に向けての方策は取られずじまいである。早急に国の誠意ある対応を要求したい。
 兵庫協会が、歯科技工士・歯科衛生士や患者さんとともに「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会を結成し、歯科医療危機の解決に向けての市民運動を始めて6年になる。「口腔崩壊」をくいとめるため、医科・歯科一体で取り組みを強めよう。
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