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兵庫県が地域医療構想案を発表 2025年に662床「過剰」 協会 パブコメで問題点を指摘

2016.07.25

兵庫県は6月末、2025年に県全体で662床が過剰になり、1万床以上の病床の機能を転換する必要があるなどとする「地域医療構想」案を発表した。協会は6月30日〜7月22日まで行われていたパブリックコメントに意見を提出し、地域住民の医療ニーズをくみ取り、計画を策定すべきなどと指摘した。提出した意見から、地域医療構想案の問題点を解説する。 
 

〈提出意見の概要〉 ガイドラインの誤り

 そもそも厚生労働省の地域医療構想策定ガイドラインに多くの問題がある。
 高度急性期、急性期、回復期の推計方法は、現状の入院受療率を25年の人口推計に当てはめただけで、入院が必要な人はすべて入院しているという前提に立っているが、病床の都合等で入院できない現状がある。
 慢性期については地域の特性を無視して、地域ごとの入院受療率の差を一律に縮小するなどとしており、各地域の実情にあった推計ができるとは思われない。

1万床の機能転換

 県の25年の必要病床数等推計結果(表)では、14年の病床数よりも662床が過剰になるとされている。しかし、医療需要は25年の数年後まで増加傾向が続くことが見込まれており、現状よりも少ない病床数で対応可能とはとても考えられない。
 また、現状の各機能の病床を1万床以上転換することが示されているが、これを強引に行えば、多くの地域で医療提供体制のバランスが崩れ、地域住民が必要とする医療を受けられなくなる恐れがある。

ニーズに合わせ医療機関の配置を

 高度急性期医療については、全県で848床が新たに必要となり、急性期医療については1万490床が過剰になるとされている。しかし、具体的な医療機関の整備計画等は盛り込まれていない。
 国の資料によれば、但馬圏域では、脳卒中や心筋梗塞の急性期医療を担う医療機関から自動車30分圏に含まれない地域の人口が60%以上に上るとされている。また、三田市の小児救急について「三田市は従前から小児救急医療...が神戸市と同一圏域...で、実情に合った圏域設定」とされているが、地元の会員からは「14年4月から1年間に時間外の小児2次救急は78.3%が他の圏域の病院に頼っており、安心して子育てできる環境とはとても言えない」との声が上がっている。25年の医療需要に合わせて、地域医療構想を策定するのであれば、現状のこうした課題を克服すべく、現在の医療ニーズに合わせ、高度急性期や急性期を担う医療機関の配置計画を策定すべきである。

在宅医療需要3万人増?

 在宅医療需要は14年と比較して1日あたり3万217人も増えると推計しているが、10年程度でそうした医療提供体制を確実に整備できるのか疑問である。
 診療所の医師が在宅医療を行うにあたっては緊急時や夜間の対応で連携できる病院が必要であり、病床を減らすために、在宅医療供給を増やすというのは無理がある。
 また、この間の診療報酬改定では施設における在宅医療の評価が引き下げられており、在宅医療から撤退もしくは縮小を行う医療機関もある。在宅を担うに必要な診療報酬が得られるよう、国に要請を行うべきである。
 

表 2025年の必要病床数等推計結果

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