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県知事選特集 井戸県政16年の検証(上) 福祉医療費82億円カット

2017.06.15

 兵庫県知事選挙が15日に告示された。井戸県政4期16年の実績が県民から問われることになる。医療にかかわる主な県政の課題のうち、老人医療費やこども医療費助成制度など福祉医療制度について検証する。 

前県政時からほぼ5割カット
 福祉医療のための県費助成総額は、貝原前知事の最後の年、2001年度の予算が183億円であったのに対して、井戸県政の2016年度予算は101億円である。2001年度よりも82億円少なく、ほぼ5割カットである(図1)。
マル老廃止
 老人医療費助成制度(マル老)は、65歳から69歳までの低所得高齢者に対して医療費の1割を助成するもの。
 貝原県政の2001年度予算は約74憶円だったが、井戸県政の2016年度予算は約6憶円へと、68億円も削減された。
 所得制限の改定は5回にも及び、回を追うごとに厳しくした。その結果、対象者は2000年度の21万7200人から、2016年度2万200人へと、10分の1に縮小した。
 井戸知事は、マル老について2005年の知事選挙で「対象者率50%を堅持して全国一の医療費助成水準を確保します」と公約していた。対象者率とは、65歳〜69歳人口のうち、制度の対象となる人口の割合のことで、貝原県政時代の2000年は人口31万人のうち対象数は21万人で、対象者率は7割であった。井戸知事が「50%堅持」とした2005年は、人口32万人に対して対象者数15万人で、井戸知事は全国一の水準と胸をはったが、実際には貝原県政時代よりも2割の減少であった。その後、65〜69歳人口は増え続けたが、対象者は削減が続き、2015年の対象者率はわずか5%まで低下した。
 2009年の知事選挙で協会は、井戸知事に公約違反として抗議し、質問状を届けたが、井戸知事は「回答いたしかねる」とし、自ら公約違反を認めたに等しい姿勢であった。さらに今年度、7月からは老人医療費助成制度の廃止が決定している。
 代わって新制度を創設するというものの、対象者の要件に、「要介護2以上」を追加するため、区分2の対象者は、わずか「数百人」程度(県医療保険課)となる見込みである。
こども医療助成額4億円削減
 こども医療費助成は、全国的に拡充する傾向にあり、兵庫県も「中学3年生まで」を対象に拡大している。当会の調査では、2016年度に「中学3年生まで窓口負担無料」を実施した県下の市町は34市町で、全41市町の8割に及ぶ。
 一見、県制度が拡充したかのようにみえるが、実は県費助成額は減少している。
 貝原県政の2001年度、乳幼児医療費助成制度予算は約43憶円だったが、井戸県政の2016年度は、「乳幼児」「こども医療」の合計は39億円で、4億円減少している(図2)。
 対象を広げているのに、助成額はなぜ減少しているのか。この理由は、所得制限の強化と、窓口負担への助成額が少ないことにある。
 34市町で窓口負担が無料化されているが、これは各市町の独自財源でまかなわれている。県は患者が負担する医療費3割に対して、0.5割分を県費で助成するにすぎず、残りの2.5割分は、市町が負担している。井戸知事は、「無料化には反対」との立場を表明しているが、子育て世代の負担を減らす少子化対策として、市町は県の姿勢を乗り越えて無料化を実施しているのである。
 今年度の自治体調査で、助成範囲を高校生まで広げた県下市町が6市町になったことが分かった。県が助成内容を充実させれば、市町の努力で「中学3年生まで無料」を全県に広げ、さらに高校生まで無料に拡大することは十分可能である。
マル母11億円から5億円へ半減
 母子家庭等一人親世帯に対する医療費助成も、助成額は大幅に削減されている。助成額の最高は2004年度の15億円で、2016年度予算は5億円へと3分の1に削減され、対象者も11万人から3万7800人へと3分の1に削減された。ここでの改悪のやり方も所得制限の強化である。
重度心身障害一人当たり助成額減少
 重度障害、および高齢重度障害の予算は、貝原県政時代よりも、わずかに増額している。
 しかし、対象になる障害者が増加しているため、一人当たりの助成額は2001年度7万円から、2016年度5万4千円へと減少している。
財政力全国9位でなぜ削減なのか
 井戸県政のもとで福祉医療は大打撃を受けてきたと言わざるを得ない。
 井戸知事は、県財政のためというが、県予算の歳出総額約2兆円(2014年度・1兆9970億円)のうち、福祉医療費は0.5%にすぎない。
 兵庫県の財政力は、総務省データをもとにした「財政力指数ランキング」によると、9位に位置している。ベスト10に入る余力のある県で、なぜ福祉医療を削減するのか。県幹部は「他県はもっと削減している」としている。しかし、財政力がありながら福祉医療を削減し、「他はもっとひどい、うちはまし」と横並び意識で合理化するのは、県民の実態を知ろうともしない官僚県政の証であろう。
 市町の努力で「中学3年生まで医療費無料」が実現しているものの、それは井戸県政の実績ではない。県が真剣に福祉医療の拡充に努力するなら、県民医療は大幅に拡充することが可能である。

図1 福祉医療予算183億円から101億円へ82億円カット
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図2 「乳幼児+こども医療費」総額は4億円減
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