兵庫県保険医協会

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主張 診療報酬プラス改定は国民すべての願い

2017.12.15

 来年は診療報酬改定。社会保障費の自然増を大幅に削減する政府方針により、4月の診療報酬と介護報酬の同時改定が格好の標的となる。
 財務省は、本体部分も引き下げて「2%半ば以上のマイナス改定」を主張し、その基本的思想は「プライマリーバランス黒字化」「借金返済」、社会保障費は「財源不足」「借金の原因」、そして「医療費亡国論」である。いずれも新自由主義を背景に古くより刷り込まれてきた。
 その後「社会保障と税の一体改革」の「3党合意」により、「社会保障充実の財源は消費税だけ」という路線が決定された。
 国民の意思表示である10月の衆議院選挙において、自民党は48%の得票で75%の議席を得て「大勝」した。その選択がもたらす結果は、すべての国民に影響する。
 診療報酬マイナス改定への誘導は、納税者・保険者・患者への「診療報酬を下げれば、あなたの支払い額は少なくなりますよ」とのプロパガンダと、一部マスコミによる「診療報酬本体は『医師の給与』『医師・薬剤師の技術料』」という歪曲により行われている。
 いずれも診療報酬の本質から外れた一面的、恣意的な捉え方、姑息な方法である。
 診療報酬は、国民が受けられる医療の範囲や量を国家が定めるものであり、提供される医療の水準や質を大きく左右する。医療機関の経営原資でもあり、その経営や存続に影響し、医師や看護師や医療従事者の労働条件、さらには地域医療の形にも変化をもたらす。規模の大小に関わらず、現在も進行中の「医療崩壊」は、決して診療報酬と無関係ではない。
 診療報酬の約半分は人件費、つまり医療従事者300万人の雇用を支える給与の原資であり、そのうち医師の給与費は約12〜13%である。診療報酬マイナス改定の一方で、政府はたび重なる賃金増を要請している。
 繰り返されるマイナス改定のもと、医療現場は、医師を中心とした過重労働と不断の経営努力により、国民に必要な医療を提供し続けている。
 診療報酬引き下げは、安心・安全の医療にとって決してプラスにはならず、多くの国民が命や健康にかかわる不利益を被ることになりかねない。
 現在の医療状況と診療報酬を正しく捉えれば、そのプラス改定は、特定の地域や団体のためではなく、医療従事者全ての要望であり、本来は全ての国民に共通する願いでもあることが理解できるはず
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