兵庫県保険医協会

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専門部だより

政策宣伝広報委員会だより

2018年度診療報酬改定 全体▲1.19% 協会は抗議声明

2018.01.25

 政府は昨年12月18日、2018年度診療報酬改定率を全体▲1.19%(国費ベースで▲1360億円)、本体はプラス0.55%、薬価・材料価格は▲1.74%と発表した。安倍政権発足後、全体マイナス改定は4回連続となる。協会は1月13日の理事会で、マイナス改定への抗議声明を採択した。
 改定率も踏まえ、1月12日に厚労大臣が中央社会保険医療協議会(中医協)へ改定内容を諮問。同日、「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」(現時点の骨子)が発表された。
 「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」などの基本方針のもと、かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価や、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価、外来医療の機能分化などが提案されている。
 厚労省は1月12日〜19日にかけて、「現時点の骨子」についてパブリックコメントを実施。協会は会員医療機関に骨子への意見提出をFAXで呼びかけた。意見集約を踏まえ、中医協は2月上旬に改定内容を厚労大臣へ答申する予定だ。

診療報酬改定内容 骨子のポイント
「かかりつけ医機能」で報酬に差

 決定された改定率をふまえて、1月12日に中央社会保険医療協議会(中医協)が発表した、「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」(現時点の骨子)のポイントについて解説する。
 

医科
紹介状なしの病院受診定額負担の対象拡大

 「緩やかなゲートキーパー機能を備えた『かかりつけ医』の普及」(2013年8月6日、社会保障制度改革国民会議報告書)をめざす立場から、「外来医療における大病院とかかりつけ医との適切な役割分担を図るため(中略)かかりつけ医機能を有する医療機関における初診を評価する」とした。
 前回改定で導入された、紹介状を持参しない500床以上の病院の初診時定額負担については、400床以上への拡大が示された。

「遠隔診療」新設電話再診の見直し

 「情報通信機器を活用した診療(オンラインシステム等の通信技術を用いた診察や医学管理)」については、「有効性や安全性等への配慮や対面診療の原則」などを前提に報酬を新設する方針。難病外来指導管理料や在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料、在宅酸素療法指導管理料などでも認めるとしている。
 また、「死亡日に往診・訪問診療を行わないものの、定期的に訪問診療等を行っている在宅の主治医」(中医協、12月1日)を念頭に、ICTを用いた死亡診断について取り扱いを明確化する方針だ。
 オンライン診療の評価にあわせて、電話再診の要件見直しも提案されている。中医協での議論からは、点数引き下げも危惧される情勢だ。

複数科の訪問診療認める

 現行では1人に1医療機関しか算定できない在宅患者訪問診療料について、「在宅で療養する患者が複数の疾病等を有している等の現状を踏まえ、複数の診療科の医師による訪問診療が可能となるよう、評価を見直す」とした。
 現場からの声に基づき、協会・保団連も厚労省へ改善を強く要望していた事項だ。

維持期リハ廃止、保湿剤保険外しも

 前回改定で2年間の経過措置が設けられていた要介護被保険者等に対する維持期の疾患別リハビリについて、2018年度末での打ち切りを示した。また、血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)について、「保険給付の適正化の観点から必要な対応を行う」としており、同薬剤の保険外しが狙われている。

一般・療養の入院料を再編

 一般病棟は、現行の7対1〜15対1入院基本料を、「急性期一般入院料(仮称)、地域一般入院料(仮称)」に再編し、「基本部分と実績部分を組み合わせた評価体系」にする方針。療養病棟は、「20対1看護職員配置を要件とした療養病棟入院料(仮称)に一本化」し、「医療区分2・3の該当患者割合に応じた評価に見直す」とした。
 

歯科
基本診療料に感染対策の施設基準
−未届出は減算

 基本診療料では、新たに院内感染防止対策の施設基準を新設し、未届出の医療機関に対して基本診療料の減算が示されたほか、歯科外来診療環境体制加算(外来環)についても見直すことが示された。
 協会は、昨年12月の中医協総会での提案に即座に対応し、12月28日に保団連として厚労省要請行動を行い、基本診療料と外来環を大幅に引き上げること、院内感染対防止対策未届出医療機関に対する減算導入反対を申し入れている。

歯科疾患管理料
医科との情報共有や口腔機能低下の管理へ加算

 医学管理料では、歯科疾患管理料は、医科との診療情報の共有を行った場合や老化等で口腔機能低下が著しい場合の継続的管理への加算を新設。
 歯科特定疾患療養管理料の対象患者の拡大、歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)廃止と歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)の対象患者の見直し、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の見直し、周術期口腔機能管理の対象患者の拡大などが示された。

「単一建物居住者」概念訪衛指で導入

 在宅歯科医療では、歯科訪問診療料および在宅患者等急性歯科疾患対応加算等の見直し、訪問歯科衛生指導料は「1複雑なもの」「2簡単なもの」の区分を廃止し、「単一建物居住者」(患者数に応じた1カ月単位の評価)の導入、在宅療養支援歯科診療所の評価の見直し、栄養サポートチーム連携加算見直しなどが示された。
 訪問歯科衛生指導料「単一建物居住者」の考え方は、介護報酬の居宅療養管理指導においても厚労省が提案しており、協会は昨年12月の厚労省要請行動で患者人数によって差を設けるべきではないことや月単位の管理は歯科になじまない等として反対の申し入れを行った。

口腔内写真撮影や歯清の算定要件見直し

 そのほか、口腔内写真撮影検査と機械的歯面清掃処置の算定要件見直し、有床義歯内面適合法では評価の新設、特定薬剤料等の算定方法の見直しなどが示された。
 



 政府が診療報酬・介護報酬の改定率を決定したことを受け、協会が1月13日に発表した抗議文の全文を掲載する。

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

診療報酬マイナス改定に抗議する
2018年1月13日
兵庫県保険医協会
第1069回理事会

 昨年12月18日、政府は2018年度診療報酬改定について、本体プラス0.55%、薬価マイナス1.65%、材料価格マイナス0.09%、全体でマイナス1.19%とすることを決めた。
 今回の診療報酬改定もこれまで同様、社会保障費の増加を5000億円以下に抑制するとした「経済・財政再生計画」に則ったものであり、私たちがかねてより主張してきた診療報酬の10%引き上げには程遠いものである。
 診療報酬は、国民が公的医療保険で受けられる医療の質と範囲、量を規定するものであるとともに、医療機関が非営利で必要十分な医療を患者、国民に提供するための原資である。この間の度重なる診療報酬のマイナス改定は、入院患者に早期退院を促さざるを得なかったり、必要なリハビリを途中で打ち切らざるを得ないなど、患者負担増と相まって、患者、国民を必要な医療から遠ざけてきた。
 また、医療経済実態調査からも明らかなように、医療機関の経営は依然として厳しい。そのため医療機関では、必要な人材の確保に困難をきたしており、医師の長時間過密労働が常態化し、過労死・自死なども起こっている。全国300万人ともいわれる医療関係者の賃金の原資である診療報酬の引き下げは、安倍首相が3%の賃上げを経済界に求めていることとも矛盾するものである。
 今回の診療報酬改定では前回・前々回同様、薬価・材料の引き下げ財源の診療報酬本体への振替が行われなかった。この振替措置は、1972年の中医協建議以来、厚生(労働)大臣や首相が公式に合意し尊重してきたもので、高薬価が社会的な問題になっている一方で、医療現場が疲弊している今こそ、この歴史的な措置を尊重すべきである。
 前回から、一部の「制度改革事項」に関連する診療報酬マイナスを診療報酬全体に含めない「外出し」が行われており、今回の改定でも「大型門前薬局に対する評価の適正化措置」は「外出し」されている。これは本来の診療報酬改定のマイナスを小さく見せる姑息な手法であり、是正すべきである。
 そもそも、政府は自ら法人税減税などで財源を毀損させてきたにも関わらず、財源不足を理由に医療・社会保障費の抑制を進め国民に不自由を強いるのは、国民を欺くものと言える。政府は超高齢社会に対応するために医療・社会保障費を抜本的に引き上げるべきである。
 以上のことから、私たちは今回のマイナス改定に抗議するとともに、患者、国民に必要で充分な医療を保障し、医療従事者の労働環境を改善するため、診療報酬の大幅引き上げと患者窓口負担の引き下げを求める。

以上


 



内閣総理大臣 安倍晋三 殿

厳しい現場の状況改善にはほど遠い介護報酬改定に抗議する
2018年1月13日
兵庫県保険医協会
第1069回理事会

 昨年12月18日、政府は2018年度介護報酬改定について、プラス0.54%とすることを決めた。
 今回の介護報酬改定はこれまで同様、社会保障費の増加を5000億円以下に抑制するとした「経済・財政再生計画」に則ったものである。現場に必要な費用から丁寧に算出したものでなく、改定率ありきのさしたる根拠のない改定であり、超高齢社会を支える介護現場の実情に見合った必要額には著しく不足している。
 前回2015年の介護報酬改定では、マイナス2.27%(介護職員の処遇改善加算を除けばマイナス4.48%)の改定を行ったことにより、2016年には老人福祉・介護事業における倒産が前年の42.1%増の108件、負債総額も前年の47.2%増の94億600万円となった。特に「訪問介護事業」や「通所・短期入所介護事業」の倒産がそれぞれ48件、38件と倒産事業所の大半を占めた。この傾向は今年度も続いており、2017年1月から8月までですでに62件の事業者が倒産し、負債総額は2016年を上回る121億7000万円となっている。
 背景には、低い介護報酬による低賃金とそれに伴う慢性的な人手不足があることは明白である。
 安倍首相は第195回国会の所信表明演説で「2020年代初頭までに五十万人分の介護の受け皿を整備する。その大きな目標に向かって、介護人材確保への取組を強化します。他の産業との賃金格差をなくしていくため、更なる処遇改善を進めていきます」と述べ、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」でも「介護離職ゼロ」が目標として掲げられている。今回のわずか0.54%の介護報酬改定は、こうした政府の方針と矛盾し、その目標達成は困難で政府の目標は絵に描いた餅と言わざるを得ない。
 そもそも、政府の赤字を招いたのは法人税減税などの大企業優遇政策によるものであり、財源不足の理由を医療・社会保障費の拡大に求め、これらの予算抑制を進めることは、国民を欺くものと言える。政府は超高齢社会に対応するために社会保障費を抜本的に引き上げるべきである。
 以上のことから、私たちは今回の介護報酬小幅プラス改定に抗議するとともに、国民に必要で充分な介護サービスを保障するため、また介護事業所や従事者の現状を改善するためにも、介護報酬の大幅引き上げを求める。

以上
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