兵庫県保険医協会

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兵庫県の医療・福祉計画に意見を提出 中・西播磨 阪神北・南 医療圏の統合に反対!

2018.03.15

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保健医療計画で狙われる圏域の統合

 県による病床削減などの医療改悪を食い止める−−。協会は、「第3期兵庫県医療費適正化計画」「第3期 兵庫県保健医療計画」「兵庫県老人福祉計画(第7期介護保険事業支援計画)」の策定に先立ち、兵庫県が実施したそれぞれのパブリックコメントに対して、意見を提出した。県民医療の充実へ向け、医療費削減ありきではなく、地域住民の医療ニーズをくみ取った計画を策定すべきなどと指摘した。

 これらの計画策定の背景には、医療費削減のために国が定めた、都道府県に地域医療計画の策定を義務付ける医療・介護総合法や、高齢者医療確保法と医療費適正化基本方針、今国会に提出が予定されている医療法・医師法改正案がある。
 兵庫県は、こうした法律の要請通り「第3期兵庫県医療費適正化計画(案)」でも、「今後医療に要する費用が過度に増大しないようにしていく」と明確に述べている。具体的な数字として県は、県民医療費がこのまま推移した場合、2023年には2兆2044億円になるところ、医療費適正化により、2兆1843億円(▲201億円)に圧縮するとし、6年間で計1142億円を削減するとしている。
 しかし、日本の医療費は先進各国の医療費と比べると、高い高齢化率の割には低い水準であるのが実情である。また医療従事者の不足も深刻で、それに起因する勤務医を中心とした過重労働などの問題が生じている。本来であれば十分な財源を確保し、医師と医療費を先進国並みに増やすことこそ必要である。
 また、「第3期 兵庫県保健医療計画」に盛り込まれた地域医療構想で、兵庫県は662床の病床削減を打ち出している。医療サービスの効率的な提供も掲げられており、効率化に名を借りた公的病院の統廃合や機能縮小がなされる恐れがある。このような医療費抑制政策では、医療提供体制の充実は実現困難である。
 また、同計画では阪神北圏域と阪神南圏域、中播磨圏域と西播磨圏域をそれぞれ統合するとしているが、県民が住み慣れた地域で医療が受けられるよう、圏域の統合を行わず、それぞれの圏域ごとに医療提供体制の整備を行うべきである。
 協会はこれらの意見をまとめ、3月初旬までにパブリックコメントを提出した。提出の際には協会役員に保健医療計画に対するアンケートを実施し、寄せられた医療現場の声を県に届けた。協会が提出した意見を受け、兵庫県がどのように計画を変更していくのか。協会は引き続き医療提供体制・国民医療の充実を求め、県や国に対し、要請を行っていく。

県のパブリックコメントへの協会意見(概要)
医療費削減ありきの計画

 兵庫県の医療費適正化計画(案)、保健医療計画(改定案)、老人福祉計画(案)に対し、協会が提出した意見の概要を紹介する。(全文は協会ホームページに掲載)
第3期医療費適正化計画(案)
効率ではなく県民に必要な医療体制を
 医療費適正化計画は、高齢者医療確保法と医療費適正化基本方針に基づき医療費抑制を行うため、都道府県に、特定健診・特定保健指導の実施率や後発医薬品の使用率の目標などの策定を義務づけるものである(図)。
 県が計画で「今後医療に要する費用が過度に増大しないようにしていく」としていることに対し、協会は、日本の医療費は先進各国と比較し、高齢化の進展に比して低いことや、医療従事者の過重労働の実態を指摘。十分な財源を確保し、医師と医療費を先進国並みに増やすことこそ必要とした。
 また、「医療の効率的な提供を目指す」との記述に対しては、費用効率だけを求めて、住民へ良質かつ適切な医療の提供が損なわれてはならないと指摘。
 「医療保険制度を持続可能なものとするため、医療費が過度に増大しないことを目指す」という記述に対し、医療費の抑制により医療保険制度を維持するのは本末転倒で、例え一部であっても、県民に必要な医療が提供されないような事態は招いてはならないとした。

図 医療費適正化による効果額のイメージ
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地域医療の実情配慮を
 「都道府県別の一人当たり医療費の差を半減させることを目ざす」との記載に対し、地域の実情を無視し、一律に半減させると地域医療に悪影響が及ぶ可能性があるとして、個人あるいは地域の実情に充分に配慮したきめ細かい取り組みを求めた。
 後発医薬品の使用割合について、全国値を下回っているため「目標値を設定する」との記述については、2015年の厚生労働省調査で、病院勤務医の54.9%が後発医薬品に対して先発医薬品との「効果・副作用の違い」や「使用感の違い」を理由に「不信感がある」と回答していることから、現場の医師の処方権や患者の希望を損なわないよう求めた。
 特定健診等の実施率達成による適正化効果を7億円とする県の試算に対し、その根拠を示すよう求めるとともに、特定健診は医療費抑制ではなく、県民の健康増進を目的に実施すべきと指摘した。
子どもの口腔健康づくりも明記を
 計画では「歯及び口腔の健康づくり」との項目で、成人口腔の健康づくりについては言及があるが、成人前については全く記述がない。
 協会は、県内の小中高等学校、特別支援校を対象に実施した「2016年度学校歯科治療調査」で、学校歯科健診で要受診の診断を受けた児童・生徒の65%が未治療で、口腔崩壊の生徒・児童がいる学校が35%という結果を示し、親の貧困・格差の是正も視野に入れ、成人前についても調査・分析を行い、対応策を明記すべきと指摘した。
第3期保健医療計画(改定案)
二次医療圏統合は中止を
 同計画案では、「阪神南圏域と阪神北圏域を、中播磨圏域と西播磨圏域をそれぞれ統合する」と二次保健医療圏域を統合し、「『圏域内で、中核病院等を中心とした一定の医療圏を構成している区域』を、『準保健医療圏域(準圏域)』として指定」することが打ち出されている。
 これに対し、協会は「誰もが住み慣れた地域で適切かつ必要な医療を受けられる地域医療完結型の医療提供体制の構築を進める」という地域医療構想の主旨からみて、これまでの圏域で医療提供体制の整備を行うべきと指摘。
 医療圏統合で準圏域となる西播磨や阪神北圏域の医療関係者からの「専門医が少ない」「西播磨圏域の病床が減り、中播磨圏域の病床が増えるなど、医療資源の偏在に拍車がかかるのではないか」「阪神北医療圏の病床が削減され、阪神南医療圏の病床枠に回されてしまうのではないか」との声を紹介し、病院の統廃合ありきの医療圏統合・準圏域設定であってはならないと指摘した。
「効率化」理由の病院統廃合やめよ
 「へき地医療・不採算医療」等について、協会は、地域の医療関係者や住民の医療ニーズを適切に把握し、「効率化」に名を借りた病院の統廃合、機能縮小を行わないようにすべきと訴え、統合再編が進む県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院について、製鉄記念広畑病院跡地の新病院は地域の医療ニーズにあわせて整備を行うよう、働きかけと支援を求めた。
 また、計画では、「医療機関の改修等にあたり、不足する病床機能への転換を促進」「回復機能への病床転換」などと記述されているが、民間医療機関に対し病床機能の転換を強制しないこと、地域の医療ニーズ等を的確に把握し、機械的な病床転換を行わないことを求めた。
医師養成数の増員国に要望を
 「医師に関する現状と課題」に関し、協会は、県立病院において年間800時間を超えて残業する医師が全医師の14%に上っているなど過酷な勤務実態があることを指摘し、この点を追記すべきとした。また、国に対し抜本的な医師養成数の増員を求めることも含めて、県としての対策を明記すべきとした。
 地域医療構想で病床数削減が求められる圏域や地域では、病床数に合わせて医師が減らされることになりかねないと懸念を示し、医師不足・医師偏在を助長させる形で、地域医療構想と医師の適正配置をリンクさせるべきではないとした。
 「医師不足への対応」では、県が「県内の『医師少数区域(仮称)』と『医師多数区域(仮称)』を指定し、具体的な医師確保対策に結びつけていく」としていることについて、協会は、現在、人口当たりの医師数が全国平均を上回る神戸圏域でも医師過剰とは言いがたく、県内において医師不足や医師の偏在を是正する取り組みには限界があると指摘した。
 他に、抜本的な看護師要請数の拡大や、歯科衛生士の就業の公的支援、歯科技工士への支援などを求めた。
小児科病院への支援強化を
 計画の「小児医療」に関する項目では、「限られた医療資源の効果的な活用と小児医療体制の確保・充実を目指す」とある。協会は、神戸掖済会病院と神戸赤十字病院が今年3月末で小児科を閉鎖することを紹介し、背景には小児科医の不足と低い診療報酬設定があると指摘、民間も含め小児科を持つ病院に対する支援を抜本的に強化すべきと訴えた。
 「2次小児救急医療圏域を単位として、小児科救急対応病院群輪番制等による2次小児救急医療体制の整備を推進する」としていることに対し、阪神北医療圏では「時間外の小児2次救急の78.3%が他の圏域の病院」「三田市・篠山市では急性疾患の子の多くが六甲山を超えて神戸市まで救急搬送されている」等の地域の医療関係者からの声を紹介し、医療圏統合ではなく、阪神北医療圏で小児2次救急の充実を図るべきと訴えた。
救急・周産期医療センター充実を
 計画では、「3次救急医療機能に課題のあるブロックにおいては、救命救急センターの設置及び3次的機能病院に位置づけられている病院について救命救急センターへの指定を検討し、3次救急医療体制の充実を図る」とされている。協会は県民の生命と予後に一刻を争う救命救急センターはブロックではなく、現在の最低でも2次医療圏ごとに整備すべきであると指摘した。
 「周産期母子医療センター等の設置状況」に関して、協会は、東播磨圏域の地域周産期母子医療センターとして明石医療センターと加古川中央市民病院が指定されているが、明石医療センターでは産科医の退職などで常勤医が減り、手術等に支障をきたしている上、加古川中央市民病院でも加古川市外の患者を送らないように文書が各医療機関に送付されていると紹介し、両医療機関が地域母子周産期医療センターとしての役割を充分に果たせるような支援を求めた。また、国の整備指針を踏まえ、阪神北、北播磨、西播磨、丹波医療圏への地域周産期母子医療センター整備を求めた。
 計画では、「脳卒中対策」「心血管疾患対策」で救急搬送体制の整備が打ち出されている。協会は、「兵庫県地域医療構想」では、北播磨、中播磨、西播磨、丹波、淡路、但馬医療圏等で10〜60%以上の人口が、急性期医療を担う医療機関から自動車30分圏内に含まれていないことが示されているとして、これらの圏域で病院の整備をさらに進めるよう求めた。
 また、阪神北圏域では「糖尿病退院患者の平均在院日数」が、70.2日と他の圏域に比してきわめて長くなっていることについて、「専門外来や専門医が少ない」との地域の医師らの指摘を紹介し、実態を明らかにし、専門医や専門外来を整備すべきと訴えた。
 「在宅医療・かかりつけ医」に関しては、非常に費用がかかる在宅医療を行う医療機関に対する手厚い支援を行うこと、一般外来だけを行っている診療所も地域でかかりつけ医として重要な役割を果たしており、その機能を適切に評価し、国にもそうした評価を行うよう求めること、また、様々な理由で自宅等での療養を望まない患者が希望する医療・療養環境を整えることを求めた。
 「急変時の対応」について、但馬医療圏では、日高医療センターの病床が減り、在宅・外来からの入院の受け皿がなくなりつつあると指摘。地域包括ケア病棟だけでも確保し、地域の診療所が安心して、外来診療にあたれるようにすべきと訴えた。
老人福祉計画(原案) 住み慣れた地域で安心して暮らせるように
 兵庫県老人福祉計画は、高齢者福祉・介護保険に関する取り組みや介護サービスの必要見込み量などを定めるものである。
 協会は介護保険の総合事業について、地元介護事業者のスタッフ不足と大手事業者の撤退などにより、担い手を確保できない市町があるとして、事業者を確保するために市町の支援を行うことを求めた。
 また、「地域ケア会議」に関して、全国的に一部の自治体でこうした会議体が中心となり、「自立支援」に名を借りて、介護サービス利用者に介護保険制度からの「卒業」を強い、必要な支援を打ち切っているとの報告があるとして、そうしたことのないよう、介護サービス利用者それぞれのニーズに合わせて、各会議体が機能を発揮するよう求めた。
 他に、有料老人ホームより介護保険施設を優先して整備すること、施設介護の充実を進めること等を求めた。
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