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政策解説 骨太の方針2018 これまで以上の医療費抑制策 協会政策部

2018.07.15

 6月15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下、骨太の方針2018)が閣議決定された。社会保障費の自然増を高齢化相当分にまで抑制することや、そのための地域別診療報酬や受診時定額負担の導入などが盛り込まれている。問題点を検証する。

 今回の骨太の方針2018では、骨太の方針2015に定められた社会保障費抑制策の継続が問われていた。結果、「社会保障関係費については、増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針...を21年度まで継続する」とこれまでの方針の継続が明示された。
 抑制についての数値目標こそ設けられなかったものの、議論の過程では、財務省は19〜21年度の3年間で社会保障費の伸びを計1.3兆円に抑制する案を示していたとされている。これは社会保障費の伸びを年間平均4300億円程度までに抑制するというもので、これまでの5000億円よりさらに厳しい伸びの抑制策である。
 これまでも毎年1兆円とも言われる社会保障費の自然増は、小泉政権下で毎年2200億円削減され、第2次安倍政権では年間5000億円の伸びまでに圧縮されてきた。これ以上の社会保障費抑制は患者・国民を必要な医療からさらに遠ざけ、医療機関の経営を危機に晒すもので許されることではない。
社会保障費削減の口実−財政健全化
 政府は、社会保障費抑制は財政健全化のためとしている。しかし、政府はこれまでに財政健全化目標の達成時期を11年度→19年度→20年度と3度先延ばし、今年は25年度まで見送りを決めた。財政健全化が進まない背景について、財務省は『日本の財政関係資料』(18年3月)で「歳入面では、...減税による税収の落ち込みが主要因」と、たび重なる法人税減税や大企業向けの租税特別措置の拡大などによる歳入不足を認めている。財政健全化を理由に、社会保障費を抑制する一方で、大企業中心に減税を行うという政府の姿勢は、財政健全化は社会保障費抑制のための口実にすぎないことを示している。
医療提供体制の縮小とさらなる患者負担増
 骨太の方針2018では、これまでの骨太の方針同様、医療費抑制策や医療提供体制の縮小、患者・国民負担増計画が盛り込まれている(表)。
 医療費抑制策としては「一人当たり医療費の地域差半減」「(国保)法定外繰入の解消」「地域独自の診療報酬」などが盛り込まれた。これらは都道府県に、より低い診療報酬の設定などで医療費抑制を強制するものである。実際に、奈良県の荒井正吾知事は医療費が抑制できず国保保険料が下がらない場合は、診療報酬の引き下げを行なうと明言している。これが実現すれば、その地域の医療機関経営は大きな打撃を受け、医療提供体制の縮小などが起こりかねない。
 さらに医師や病床、高額医療機器を削減し、在宅医療と在宅での看取りを増やして医療費を抑制することも盛り込まれた。
 患者・国民負担増も表の通り多数計画されている。これらが実施されれば、受診抑制に拍車がかかり、経済的な理由で、必要な受診ができず、命や健康を危険に晒す患者が増えかねない。
必要なのは社会保障の充実
 骨太の方針2018には、「社会保障制度が経済成長を支える基盤となり、消費や投資の活性化にもつながる」との文言が盛り込まれた。社会保障は経済成長の足かせであるとするこれまでの表現が、多くの批判により修正されたものである。
 この文言のように、世界に類を見ないスピードで高齢化が進む中、必要なのは社会保障制度を充実させ、国民の将来不安を払拭し、持続可能な経済社会を作ることである。
協会の運動にご協力を
 保団連・協会では骨太の方針2018に盛り込まれた患者・国民負担増に反対し、社会保障費の抜本的増額を求めるため、今後、クイズチラシや署名などに取り組む予定。ぜひご協力をお願いしたい。

表 骨太の方針2018で示された医療提供体制縮小と患者・国民負担増計画(主なもの) 1883_02.gif
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