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主張 骨太の方針2018閣議決定 患者窓口負担増と保険給付減に強く反対する

2018.07.25

 いわゆる「骨太の方針2018」が閣議決定された。医療政策においては二つの大きな流れが見える。
 まずは「自助、共助、公助の範囲」あるいは「給付と負担」の見直しと称する「患者窓口負担増」と保険適用外しによる「給付減」である。
 「後期高齢者の窓口負担の在り方」「現役並み所得者の基準切り下げ」により、患者窓口負担を増加させる。また、「市販品と医療用医薬品との価格バランス」「医薬品の適正使用」等の観点から、薬剤自己負担を引き上げる。「かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の普及を進める」名目で、外来受診時の定額負担を導入する。
 また、「費用対効果」や「財政影響」などの経済性評価により「新規医薬品や医療技術の保険収載等」を制限するばかりか、「保険外併用療養の活用」と称して保険適用外とする。いずれも国の「公助」を後退させ、患者負担を個人の「自助」に付け回す方向である。
 極め付きは、医療費が増えた場合に患者の窓口負担を上げるいわゆる「マクロ経済スライド制」の導入である。
 国民皆保険制度の財源不足を、患者窓口負担に求めるのは、冷酷で無責任な方策である。患者は決して「受益者」ではない。「応能」負担における「能力」とは「患者」の支払い能力ではなく、広く法人も含めた税金や社会保険料の負担能力のことである。また患者負担増政策は、低所得者の受診抑制効果を内包しており、所得再分配機能を持つ社会保障制度の一部としての医療において許されるものではない。
 次に、国保の都道府県単位化と相まって、都道府県の権限が一層強くなる。
 地域医療構想の実現に関しては、地域の実情を知らない机上の推計による「病床削減ありき」に対する反発が強く、対応が決まっている医療機関は1%にも満たない。公立・公的医療機関については、準強制的に再編・統廃合が進められているが、「この上病床の機能分化・連携が進まない場合には、都道府県知事が役割を適切に発揮できるような権限」が促進される。また「病床の転換」「介護医療院への移行」などを着実に進めるための「地域医療介護総合確保基金」の活用や「高額医療機器の共同利用、効率的な配置」を促進するのも県が中心となるだろう。
 最も危険なのは「地域独自の診療報酬」である。すでに奈良県では知事と本省から出向し副知事を務めた財務官僚が前向きに検討を進めている。患者窓口負担や医療機関の受け取る診療報酬が、居住地や開設地により、差別されることになれば、国民皆保険制度の根幹である医療の公平性が失われることになる。
 この点、これまで以上に、県知事と県会議員の役割は重要であり、社会保障や医療に対する見識が、地域医療や県民の健康に直結してくる。協会は地域医療を第一線で担う医師の団体として、「患者負担増と給付減」を良しとせず、各方面に働きかけを強めていく。

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