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政策解説 みんなでストップ!患者負担増 (3) 薬剤自己負担を引き上げ 医療機関より「セルフメディケーション」?

2018.12.05

 政府が進める患者負担増計画の内容について、解説する本シリーズ。第3回目は「薬剤自己負担の引き上げ」について解説する。
 

風邪薬や漢方薬を保険から外す

 政府は、市販品類似薬の保険外しを計画している。
 「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2018」では、「薬剤自己負担の引き上げについて、市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス、医薬品の適正使用の促進等の観点を踏まえつつ...必要な措置を講ずる」とされ、感冒薬や湿布薬、うがい薬、漢方薬など、薬局で処方箋なしで購入できる医薬品(市販品類似薬)を保険から外して、全額自己負担とすることが狙われている。他にも、薬代のみ自己負担割合を引き上げることや、一定の額までは患者の全額負担とすることが想定されている。

患者の自己判断で重症化の危険

 見直しの理由として、財政制度等審議会は、「平成31年度予算の編成等に関する建議」の中で、「市販品と同一の有効成分の医薬品でも、医療機関で処方されれば、自ら市販薬を求めるよりも大幅に低い負担で入手可能」として、市販薬より処方薬の方が安いため、「セルフメディケーションの推進にも逆行し、公平性を損ねている」としている。
 もしこれらの保険外しが実施されれば、高い負担を避けて、患者は医療機関にかからず自己判断で市販薬を購入するということになる。政府はこれを「セルフメディケーション」として推進すべきであるとしているが、疾病を的確に判断する医師の不要論につながりかねないばかりか、患者の早期診断・早期治療の機会を逃し、重症化を招き、取り返しのつかない事態となってしまう危険性がある。
 また、医療機関にかかっても、これまで保険適用されていた医薬品が全額自己負担となると、患者に重い負担を強いることになる。経済的理由により、必要な医薬品使用が制限され、患者の健康が守られないことになってしまう。
 また、「安全性と有効性が確認された薬は保険がきくようにして、だれでもお金の心配なく必要な医療が受けられる」という国民皆保険制度の原則がないがしろにされてしまう。
 市販品類似薬の保険外しこそが、国民を皆保険制度から遠ざけ、国民が医療を受ける機会の公平性を損ねることになるのである。

「諸外国の例」の問題点

 財政制度等審議会の建議では「諸外国の例も参考としつつ」薬剤の自己負担引き上げを検討すると書き込まれている。
 具体的にはフランス、ドイツ、スウェーデンを例に出し、「薬剤の種類に応じた保険償還率の設定や、一定額までの全額自己負担」など、薬剤負担では技術料とは異なる仕組みが設けられていると紹介されている(表1)。
 このうちフランスについては、薬剤の種類に応じて、0%〜100%まで5段階の自己負担割合が設けられているとされ、薬剤費負担が重いように見える(表2)。だが、前々号の受診時定額負担の解説でも紹介したように、フランスでは相互共済制度による代理支払いが行われており、1ユーロの定額負担を除き実質的な患者負担はない。
 また、スウェーデンで全額自己負担とされる900クローナは日本円では1万1千円程度であり、しかも年間2200クローナ(約2万7千円)という自己負担上限が設けられている。
 何より、これらの国と日本では、薬剤費以外の治療にかかる患者の自己負担額が全く違う。いずれの国も治療にかかる負担は無料か低額である。
 原則3割という重い窓口負担がかかる日本とは負担が全く違うのである。
 

表1 薬剤自己負担の国際比較
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表2 フランスにおける薬剤自己負担割合
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