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主張 日米貿易交渉 日本の医療制度にも議論がおよぶ可能性

2019.04.25

 日米両政府は4月16日、新たな貿易協定交渉の初会合をワシントンで実施した。日米間の貿易を巡る交渉の歴史は古く、70年の日米繊維交渉や89年に始まる日米構造協議など過去幾度となく行われてきた。今回の貿易交渉の特徴は、日本側は「Trade Agreement on Goods」=「TAG」(物品貿易協定)だとしているが、米国側は大統領経済報告で「enter into Free Trade Agreement negotiations with Japan」と述べ、物品に限らずサービス分野も含んだFTAを結ぶとしていることだ。そして、この交渉はTPPから撤退したトランプ政権との初の本格的貿易交渉になる。
 日本政府がいかに「TAG」と称し、米国との貿易協定を物品に限ったものだと言い繕っても、米国が日本の金融や医療などサービス分野の自由化を強力に求めてくることは歴史を見れば明らかである。例えば、90年代初頭から米国の保険業界と米国政府が毎年、日本に対して、郵貯・簡保の廃止、民営化を要求した結果、2007年に郵政民営化が行われ、今やかんぽ生命はその営業網を米アフラック社に提供している。
 医療分野でもTPP協定に関連する日米間の交換文書で、中医協などの審議会に「外国を含む全ての利害関係者の出席...を認めること」を米国は要求。実際にこの間の中医協薬価専門部会には、米国研究製薬工業協会の代表が出席し、意見陳述を行っている。さらに2016年には患者申出療養制度が始まったが、これも90年代から続いた米国による「混合診療解禁」の要求に応えたものと言える。これら日本政府の米国への配慮ぶりを見れば、いかに日米FTAが危険な協定になるのか想像に難くない。
 トランプ政権が農業から金融サービスまで21項目を盛り込んだTPPを離脱した背景には、自由化の水準が低く米国の利益にならないとの判断があるとの考えが有力だ。一方、日本はTPP11をすでに批准しているので、米国は当然、その水準以上の自由化を求めるだろう。TPPの下敷きともいわれた米韓FTAでは、韓国は63もの国内法を改定させられ、国内に特区をつくり混合診療が解禁されたと言われる。
 日本でも同様の事態が起こりかねない。自由貿易を否定するわけではないが、米国の大企業に日本国民の富と健康を差し出す内容にならないよう今後も日米貿易交渉を注視したい。

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