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主張 介護保険制度創設20年 介護労働者と共に署名で制度改善求めよう

2020.03.25

 介護保険制度が創設されて4月で20年が経過する。介護保険は、高齢化が進行し「社会的入院」が問題視されるようになり、介護を必要とする状態になっても安心して生活が送れるよう、介護を社会全体で支えることを目的として創設された制度である。
 しかしこの20年、介護報酬は複雑化が進み、減算・加算を経て全体として引き下げられている。2019年度の老人福祉業者の倒産件数は111件と過去最高に並んだ。内訳は「訪問介護」52%「通所介護」29%「老人ホーム」10%などで、低賃金のための人手不足が倒産の背景にある。実感としても介護の現場は人手不足で混乱している状況で、その根底には介護報酬の低さがある。
 さらに制度設計上の問題でもあるが「介護保険料」負担がかなり重くなっている。必要と見込まれる費用(利用者負担を除く)の5割が保険料に跳ね返るため、利用者が多く、また利用度が多いともろに保険料に影響してくる仕組みである。ちなみに福島県双葉郡葛尾村、双葉町では保険料が全国最高レベルになり、9千〜1万円/月になる(全国平均6千円弱)。加えて生活保護受給者であっても基本料の3割が課されるという、生活費に税を課す憲法違反の制度となっている。
 〝介護予防〟と称して、介護保険から排除する動きも露骨になり、受け皿としての自治体も事実上お手上げ状態。さらに要介護認定がばらつく、現実とかけ離れているケースもあり、現場は困惑と困難が大きくなっている。
 昨年末厚労省の審議会で、今年の通常国会に提出予定の介護保険改悪案の論議が進み、施設入居費の負担増などの内容が明らかになってきた(詳細は保団連発行リーフレット〈下〉・署名用紙参照)。そもそも高い保険料を払い続けてきた人が、要介護認定されてもサービス提供事業者がないために使えない、利用料が高くて利用できないというのは社会保障の根幹を揺るがす問題である。
 創設から20年。超高齢社会において国民が安心して楽しく暮らせるよう、サービス給付のあり方、利用料負担の在り方、保険料設定の問題、介護事業所運営や、介護労働者に対する介護報酬のあり方等を原点に立ち返って考え直すことが求められる。保団連の「みんなでストップ!負担増」署名活動に旺盛に取り組み、大きくの国民の世論を創り上げ、さらに介護労働者と共に制度を改善していこうではないか。
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