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兵庫保険医新聞7月25日号「主張 戦後75年 核廃絶へ運動と世論で核保有国を包囲しよう」

2020.07.25

 今年は第二次世界大戦終結から75年の節目の年である。ただ、新型コロナウイルスという近年まれにみる感染症の拡大により、5月に予定されていたニューヨークでのNPT再検討会議や、それにあわせて予定されていた原水爆禁止世界大会inニューヨークも来年に延期となるなど、核軍縮と世界平和に向けた取り組みが縮小せざるを得なくなったことは残念である。
 一方で、核兵器廃絶を願う世界中の市民がオンラインで集まり、核廃絶へ向けた取り組みを交流しあうなどの運動も起こっていることは希望が持てる。一刻も早い核廃絶のためにも、来年は広範な市民が参加して、会議が開催されることを願う。
 核兵器をめぐる情勢では、近年、米露間の緊張が高まっていることが懸念される。昨年8月に米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約が失効し、来年2月には、新戦略兵器削減条約(新START)が期限切れとなることから、両国ともに核戦略の拡大方針を示している。アメリカは小型核爆弾を「使い勝手の良い」核兵器であるとして、開発を進め、これに反発したロシアは、相手国から弾道ミサイルの発射情報などがあれば核兵器の使用も認めるなど、「核兵器の先制使用」方針を拡大するなど、核兵器のない世界を求める世界市民の願いと逆行している。
 核問題以外でも、中国の一国二制度を破壊する香港での国家安全維持法や北朝鮮問題、水資源などの利権をめぐる隣国同士の対立など、紛争につながりかねない問題が山積している。いずれの問題も、対話による解決を求めたい。
 広島・長崎が原子爆弾による甚大な被害を受けてからすでに75年。被爆者の高齢化が一段と進み、彼らに残された時間はわずかとなっている。被爆者の方々がご存命のうちに、核兵器廃絶を達成するためにも、現在40カ国まで批准国が増えている核兵器禁止条約の早期発効により、核兵器は絶対悪であるという世論のもと、核保有国を包囲する運動が、いっそう重要である。
 ICAN等による、核関連企業への投融資をやめさせる「Don`t bank on the bomb」キャンペーンも、SDGs(持続可能な開発目標)のように、世界中の市民に広く知らせ、資金面からも核廃絶を迫るため、われわれも運動に取り組む決意である。

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