兵庫県保険医協会

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省令変更での要介護保険外しは中止を 政府にパブリックコメント提出

2020.10.15

 厚生労働省は、要支援者向けの「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象を要介護5まで拡大し、介護保険給付外しを可能にする制度変更を「省令改正」で行おうとしている。協会は9月23日、政府のパブリックコメントに対して、保険外しでなく介護保険制度の充実こそが必要であるという意見を提出した。提出した意見全文を掲載する。

 これまで要支援に限られていた総合事業の対象者を、要介護まで広げるということは、国民の介護の受給権に関わる制度の重大な改定である。これを省令変更のみで行うことは問題である。介護保険法第115条の45第1項第1号では、総合事業を「居宅要支援被保険者その他の厚生労働省令で定める被保険者に対して、次に掲げる事業を行う事業」とあり、要支援者を前提としていることは明らかである。対象の拡大が必要であるならば、国会での審議を経て、法改正を行うべきである。
 総合事業は、基準を緩和したり、専門職員でない者でもサービス提供を可能とするもので、介護の質が担保されていない。自治体の予算で行う事業であるため、予算がなくなればサービスが打ち切られる事例も発生しているし、本人の希望をふまえるというが、総合事業開始後、市町村が「本人の合意」を強引にとりつける例も起きている。要介護者は、日常生活すべてに綿密なサポートが必要であり、市町村に押しつけるのでなく、国が責任を持って介護を提供する体制とすべきである。
 そもそも、国民の介護を受ける権利を国が保障する社会保障制度として介護保険制度は作られており、「本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続することを可能とする」ことが介護保険でできないのであれば、必要なのは総合事業の対象の拡充ではなく、介護保険の改善である。現時点でも介護保険は、高い保険料を払い続けても、必要なサービスが受けられないという問題がある。必要な介護が安心して介護保険制度で受けられるように、政府は介護保険制度の改善こそを行うべきである。
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