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主張 核兵器禁止条約発効確定 核なき世界へ日本政府も批准せよ

2020.11.25

 10月24日、ホンジュラスがニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約の批准手続きを終え、遂に批准した国と地域数が、発効に必要な50に達した。これにより、核兵器禁止条約の来年1月22日の発効することとなった。歴史的な条約の発効確定を心より歓迎する。
 この条約は核兵器に「非人道的兵器」の烙印を押し、開発、製造、保有、使用などを広く禁止するもので、2017年7月に国連で122の国と地域の賛成で採択されたものである。
 条約に批准した国、地域は1年以内に締約国会議を開き、核兵器廃絶の期限、検証方法等が議論される。
 一方で、米露の新型核兵器開発や中国の拡大、北朝鮮とイランの核開発、印パ対立など、核廃絶に逆行する軍拡の動きが起こっている。
 核抑止力論者は核兵器所有による抑止効果を主張するが、細心の注意を払い管理しても誤作動や人的ミスの恐れが常にある。仮に誤射であっても一たび使用されれば、報復から核戦争になる危険性は高く、核兵器は保有するだけで危険極まりない。実際にペリー元米国防長官も「偶発的に核戦争が始まりそうになったことが何度もあった。私が知る限り3回経験している」と証言している。
 福島の原発事故のように「想定外」のことは起こりえる。しかも核兵器の場合は、即人類の破滅に直結する。現在進行形で人的・経済的被害が世界中で拡大しているCOVID-19パンデミックも示唆しているように、想定外の事態は突然に起こるものである。
 核兵器禁止条約への道を開いたのは、核兵器の「非人道性」から出発した世界の運動である。一般市民も巻き添えになる危険が極めて高い「非人道的兵器」の禁止条約は、これまでも生物兵器や対人地雷、クラスター爆弾などが成立した。いずれも条約発効後、世論によって、非締結国でもこれらの使用・保有のハードルが高くなり、廃絶が実現・大きく前進していることからも、核兵器禁止条約のアプローチは正しいと言えるだろう。
 しかし、米中露等の核保有国は、この条約に反対し、米国の核の傘にいる日本や韓国、NATO加盟国等も批准していない。批准していない国・地域の締約国会議へのオブサーバー参加についても、日本政府は唯一の戦争被爆国として招待されていながら、否定的な姿勢を示している。
 日本は唯一の戦争被爆国である。米国に忖度ばかりして条約に反対するのではなく、批准すべきである。少なくとも、オブザーバーとして締約国会議へ参加すべきである。国民の命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、政府の姿勢に反対する。

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