兵庫県保険医協会

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2022改定インタビュー 医科・診療所
新型コロナの教訓生かさない医療費抑制継続に失望
東灘区  口分田 真先生

2022.04.05

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低医療費政策は転換すべきと訴える口分田先生 

 今次改定内容について、医療機関への影響を聞くインタビュー。第1回は東灘区・口分田玄瑞診療所の口分田真先生に聞いた。

 --新型コロナウイルス感染症拡大のなかの診療報酬改定でしたが、改定率は本体プラス0.43%で、薬価等を含めた全体マイナス0.94%となりました。
 新型コロナ拡大で明らかになったのは、これまで続けてきた政府の医療費抑制政策の転換の必要性です。今回は政策を転換する大きな節目であったはずなのにこれまで通りの医療費抑制を続ける、ひどい改定だと思います。診療所にプラスは全くないのではないでしょうか。
 --先生は、発熱等診療・検査医療機関の指定を受け、コロナ疑い患者の診察を行っておられます。今次改定では、そのような医療機関への評価として、外来感染対策向上加算(6点)が新設されました。
 常に感染の危険性があり、非常に大きいストレスに晒されながら、コロナ疑いの患者さんの診察を続けています。また、導線や診療時間を分け、防護具を用意するなどの設備面での準備も必要です。今回の点数は、全く見合っておらず、正直、馬鹿にしているのかと思ってしまいます。
 診療・検査医療機関は、感染拡大で従来の医療提供体制がひっ迫し、開業医に診察を担わせるということで、定められたはずです。当初の補助金や加算もなくなりました。新型コロナなど新興感染症の対応は、本来保健所などの公衆衛生の体制強化が必要ですが、政府の対応は場当たり的で、結局、医療費抑制しか考えていないのでしょう。
 コロナ疑い患者を診ていない医療機関も感染防止対策は実施しているにも関わらず、この評価が全くなくなったのも問題だと思います。

2022改定インタビュー
受診抑制を進めるリフィル処方箋
東灘区  口分田 真先生
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診療報酬引き上げと合わせて患者負担引き下げを求めている

 --処方箋を繰り返して利用できる「リフィル処方箋」が導入されました。
 医学的な必要性が全く感じられません。病状の経過観察には少なくとも1カ月に1度は診察が必要です。自覚症状がなくても病態が悪化していることもあります。
 コロナで受診抑制や長期処方希望の患者さんが増えており、健康悪化につながることを懸念しています。むしろ受診を呼びかけるべきなのに、受診抑制を推進するような政策はおかしいと思います。
 --コロナ特例として導入された初診からのオンライン診療も盛り込まれました。
 診察の際、患者さんの待合室での様子や診察室に入ってくる歩き方、表情の変化など、得られる情報をすべて集約し診断に役立てています。しかし、これがオンラインとなるとできるのは問診くらいではないでしょうか。初診からのオンラインは特にリスクが高く、そこまでのリスクを冒して行う必要がどこにあるのでしょうか。
 --他には、マイナンバーカードによる保険証のオンライン資格確認システム活用時の加算が導入されました。
 このような加算で、マイナンバーカード普及を推進しようという政府の狙いがあからさまです。医療機関にとってはわずかな加算の一方で、システムの維持費が大きな負担です。この政策は結局、病歴や健診記録などの個人情報をマイナンバーカードに紐づけし民間サービスの利用を促すことで民間企業のビジネスチャンスを拡大させるためのものです。
 最後に気になるのは、後発医薬品の供給不足が続き、現在は先発品も品薄になってきていることです。大手製薬メーカーの新薬の薬価を高止まりさせる一方で、後発品利用の推進を急速に進めたことが、質を維持できないほど薬価を抑えた背景にあると思います。これも見直し、薬の質と供給量を担保できるだけの薬価にするべきです。
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