兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

専門部だより

政策宣伝広報委員会だより

主張
安保3文書の閣議決定 軍拡でなく社会保障の充実を

2023.01.25

 岸田政権は昨年12月16日に「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」との名称で明記し、「防衛費を今後5年間でこれまでの1・5倍の43兆円に増額」とすることを盛り込んだ安保関連3文書を閣議決定した。
 3文書とは「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」で、この先10年間を想定した安全保障政策の軸となるものだ。「専門家・有識者会議」での半年の議論を経て、閣議決定された。安全保障というが、最も重要な平和外交はそっちのけで防衛強化ばかりがうたわれている。
 憲法違反の、戦後の安保政策の大転換であるにもかかわらず「敵基地攻撃」の定義・条件はあいまいなままだ。さらに米国から購入する装備(武器)が本当に必要かどうか、財源はどうするかなども、議論は全く行われていない。国会審議なしというのは議会制民主主義無視の暴挙そのものである。
 財源について、政府与党は低迷する支持率、統一地方選挙を前に「増税」と明確に言えない状況だ。国立病院機構などの独立行政法人の資金の国庫返納や、防衛費財源として禁じ手とされる国債発行まで、さまざまな理由をつけて強行しようとしている。
 当然、「歳出削減」は前提とされ、さらなる社会保障費の抑制が求められることとなる。とても看過できない。コロナ禍、不安定な世界情勢のため、物価、光熱費の高騰、引き下げられる年金、上がらない賃金...。国民生活は苦しくなる一方だ。それに加え、昨年10月より高齢者医療費窓口負担2倍化、着々と計画される介護保険制度改悪、保険料の負担増など、社会保障費の自然増を1500億円抑制するという方針のもとで、まさに社会保障はやせ細っている。
 法人税増税との話もあったが与党内からの強い反発で見送られた。そうなれば、防衛費のための歳出削減で「やせ細った社会保障のため」、消費税増税が必要であるという話が出てくるであろうことは想像に難くない。
 日本に限らず富裕層・財界の支持を受ける政党が政権をとった場合、当然のことながら富裕層・財界を利する政策をとることとなる。現在、特に米国の軍需産業、IT関連産業などを利するための政治が行われていることは明らかだ。結果、社会保障が脆弱化していく。
 憲法に書かれているから社会保障・人権は守られる、というわけではない。
 憲法98条には、締結した国際的条約・国際法規は誠実に遵守すべしとあり、国際人権規約の社会権規約では、社会保障の後退禁止が原則とされている。
 憲法12条は、私たちに憲法で保障する権利を実現するための不断の努力を求めている。
 私たちは不断の努力で大きな世論をつくり、社会保障を充実させよう。
勤務医部会だより 共済部だより 税経部だより 歯科部会だより 政策宣伝広報委員会だより 環境公害対策部だより 国際部だより 薬科部だより 保険請求Q&A 審査対策部だより 文化部だより 女性医師・歯科医師の会 融資制度のご案内 医療活動部だより