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マイナ保険証トラブル調査結果 詳報 6割が「廃止後は受付業務に忙殺」

2024.03.15

2024年3月15日(2064号) ピックアップニュース

マイナ保険証トラブル調査結果 詳報
6割が「廃止後は受付業務に忙殺」

 協会・保団連が会員医療機関を対象に実施した、マイナンバーカードによる保険資格確認に伴うトラブルについてのアンケートでは、政府による「総点検後」も6割の医療機関でトラブルが起こっていることなどが明らかになっている(前号既報)。
 結果の詳細を報告する。

10月以降もトラブル「あった」6割
 「この1カ月でマイナ保険証を利用される患者さんはどれくらいいましたか?」という質問に対し、「ほぼいない」「5%未満」との回答があわせて約8割に達し(図1)、政府が公表しているマイナ保険証の利用率を裏付けるものとなっている。
 「10月1日以降のマイナ保険証、オンライン資格確認に関するトラブルについて」聞いたところ、「あった」が61.1%と3分の2を占め(図2)、政府は「総点検」を行い対策をとったとしているが、実際には引き続きトラブルが起こっていることが明らかになった。
 トラブルの内容としては、「名前や住所で●が表記される」が62.4%、「資格情報の無効がある」が44.9%、「カードリーダーでエラーがでる」が43.1%の順で多くなっており、具体的なトラブル事例が多数寄せられている(図3・表)。
トラブル対処8割が「紙の保険証」
 トラブルへの対処(複数回答)では、78.8%が「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認をした」と大半が紙の健康保険証で資格確認を行っている。次いで、「前回来院時の情報をもとに対応をした」(35.4%)、「レセコンメーカーに相談をした」(23.2%)との回答が多い。
 保険証廃止によって、マイナ保険証の利用率が上がれば、より多くのトラブルが発生することが考えられるが、保険証がないため資格確認等がより困難になると考えられる。
紐づけ誤り等で「返戻」14.4%
 「保険資格や負担割合の齟齬、限度額認定の誤りなどで、保険者から返戻または減点はありましたか」に対し、「返戻があった」が14.4%、「減点があった」が0.3%となった。
 政府はオンライン資格確認導入で、返戻が減ることを医療機関のメリットであると説明してきたが、実際には、資格情報の紐づけ誤りや負担割合の登録ミスにより返戻が増えていると考えられる。
 トラブル対応で、「いったん10割負担を患者に請求した」事例はあったか聞いたところ、全体の医療機関のうち5.1%の医療機関で、患者に10割負担を求めざるを得ない事態が発生していることがわかった。
 現在は、患者に被保険者資格申立書を可能な範囲で記入、提出してもらうことで、患者の自己負担を、保険証を持参した際と同様の割合にすることができるという取り扱いになっているが、医療機関への周知が十分でない等の問題があると考えられる。
保険証廃止は中止を!
 健康保険証が廃止された場合の受付業務について(複数回答可)聞いたところ、「今も混乱しており、廃止後は受付業務に忙殺されると思う」が62.0%、「診察の待ち時間が長くなると思う」が45.7%となった。
 政府は、マイナンバーカードのデータを読み取り、オンラインで資格確認を行うので、待ち時間が少なくスムーズになると宣伝しているが、現場の状況では程遠いことが明らかとなった。
 「健康保険証の2024年廃止について」どうすべきかについての回答では、「保険証は残すべき」79.9%、「延期すべき」13.2%、「賛成」4.8%と、「延期すべき」も含めれば9割以上の医療機関が、今年秋の現行保険証廃止に反対している。
 政府は、医療現場の意見を聞き、今年に予定されている保険証廃止の中止・延期を行うべきである。
調査概要
実施期間 2023年12月22日~2024年1月31日
対象 医科・歯科協会会員医療機関 5287件
有効回答 748件(14.1%)
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