政策宣伝広報委員会だより
[参加記] 原水爆禁止2025年世界大会・広島 唯一の戦争被爆国として行動を 参与 川西 敏雄
2025.09.15
平和公園内の「原爆の子の像」に折り鶴を捧げた広川顧問ご夫妻(右2人)・川西参与

呉基地に停泊している潜水艦が目の前に見られるアレイからすこじま公園
原水爆禁止2025年世界大会が、8月4日から9日に広島市内・長崎市内で開催された。広島会場にはオンラインとあわせ2600人、長崎会場には3900人が参加した。また、4日には広島市内で近畿反核医師懇談会が、核兵器製造企業への投融資に関する金融機関調査結果報告会を実施した。4日から6日の広島会場には、協会から川西敏雄参与が参加。武村義人副理事長・広川内科の患者さんたちから預かった折り鶴を供えた。6日には広川恵一顧問も懇意にされている西宮市のデイサービスセンター「つむぎの家」の皆さんから折り鶴を託され、広島を訪れた(左上写真)。川西参与の参加記を紹介する。
4日
4日の開会式の日は、入口にて、近畿反核医師懇談会が中心に取り組む「Don't Bank on the Bomb(DBOB、核兵器にお金を貸すな)」キャンペーンのアピールを行った。テーマソングを流しながら、全国からの参加者にアピール行動をし、今年は特に若い世代の参加が多く感じた。
私たちの預金・年金を核兵器製造会社に貸さないで、この言葉は、兵庫協会はもとより多くの方々に毎年浸透している。実際に取引金融機関へ問い合わせる方も増えたと聞いている。この声が大きくなるほど、各金融機関も無視できず、投融資ポリシー改善などの動きにつながるだろう。
夕方には、金融機関に核兵器製造企業への投融資ポリシーをたずねた近畿反核医師懇談会のアンケート結果報告会が、広島市内で行われ、マスコミ各社や関心のある市民の方が参加し、翌日の中国新聞としんぶん赤旗で報道された。
参加された音楽家の木本いず美さんから「数年前NHKで某大手銀行が核兵器製造企業に融資しているとの放映があり、私はその銀行の支店に行きここは広島ですよと抗議し、預金を全額おろしました。多くの抗議の人が並んでいました」と聞かされた。しかし、その後報道が途絶え働きかけは消えてしまったとのこと。私からは、記者の皆さまにいかにマスコミの力が大切か釈迦に説法をした。
核兵器使用を匂わせる国々が増える中、少しでもこの運動が歯止めになればと改めて感じた。
5日
2日目には動く分科会「増強がすすむ海上自衛隊呉基地調査行動」に参加した。特徴をまとめる。
・海上自衛隊には巡視船・潜水艦など各種艦艇が約140艘現存し、うち45艘以上が呉基地に配備
・アレイからすこじま公園では、目前に潜水艦7艘が停泊、視界一杯に駐留している姿が広がり、正直迫力に驚いた。
・空母化した呉を母港とする護衛艦「かが」の当初建造費は約1200億円。空母化するための改修費が277億円予算化されている。ちなみに呉市の年間予算は1000億円だという。
・日本製鉄呉跡地を防衛庁が一括購入する売買契約締結に向け、25年8月に基本合意がなされた。130ヘクタールという広さの土地に、民間施設も誘致し、「複合防衛拠点」として活用しようとしている。
・呉市に司令部がある在日米軍秋月弾薬廠第83兵器大隊は、東アジア最大の弾薬庫群を管理している
・防衛費の増大、防衛力整備計画の名のもとに新弾薬庫を数棟建造予定だが、沖縄離島や京都祝園と同じく、核ミサイルも収納できる形状
視察では、熊本民医連の田中喜久さんに大変お世話になったので、お礼を述べたい。
現在「防衛費」(正しくは軍事費:敵を殲滅する〝打撃力〟安倍晋三元首相発言)は年間10兆円近くに膨らみ、必要性の十分な検討もない。
川﨑重工・三菱重工・神戸製鋼などの企業名が多々聞かれ、どこも過去自民党に多額の〝企業献金〟を行った企業である。大企業はこの気が遠くなるような金額の恩恵を受け、そして政権与党に企業献金を行うという構造がある。
6日
被爆後80年を節目として迎えた世界大会。閉会総会で発言された被爆者の田中聡司氏(日本被団協代表理事)の言葉が、今回の大会総てを象徴したように感じたので、同氏の言葉をお借りする。
「70年前最初の原水爆禁止大会を思い出します。夜、農作業を終えた母がラジオの前で、そっと涙をぬぐっていました。社会の片隅で息を潜め懸命に生きてきた被爆者が初めて表舞台に引き出され世界に訴えたのです。『生きていてよかった!』」「その後核兵器廃絶と被爆者援護は車の両輪の如く、二大要求として掲げられ、分裂の試練を潜り抜け今大会まで歩んできました」「被爆者の余命を心配する前に...人類絶滅が先かもしれない」
生存被爆者の平均年齢が86歳になり、次回の節目には参加できないであろうこと、終末時計が残り89秒を示していること、世界の一部の国で核兵器使用が語られること、核兵器を讃える政治家が日本に存在すること......これらを踏まえ今以上に日本国民が事態を憂い、世界の国々に発信するべきと感じた。
「そっぽを向いている核保有国のリーダーたちを1㎜でも動かすこと。唯一の被爆国日本がまず参加をすること」
この状況で〝核兵器禁止条約〟への批准どころか、オブザーバー参加もままならないことに強く危機感を覚えた。