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工夫して収入増を-2008 年確定申告の特徴

2009.04.15

協会税務講師団 橋本 恭典 税理士

 昨年9月のリーマンショック以来の世界同時不況のもと、2008年分の確定申告が行われました。全体の確定申告件数は、団塊世代の退職期を迎え、公的年 金受給者の増加に伴い増加しているはずですが、各地の申告会場への来所者は減少しております。国税庁のe‐TAXを利用する納税者と、国税庁のホームペー ジの申告書作成コーナー利用の納税者が増加し、自書作成したことが原因だと思われます。
 各医療機関の全体的な収入減の傾向は昨年同様です。その中でも、頑張って収入増を確保した医療機関も多くあったのではないでしょうか。新しい技術への挑 戦、新しい医療機械の購入、診察室・待合室の改装など、何らかの対策を取らなければ国の医療政策に埋没してしまいます。
 医療制度改革により、08年4月1日から「後期高齢者医療制度」が始まりました。それにともない、収入面と支出面に変化があります。収入について、国保 連合会の当座口振込通知書が国保と後期高齢者医療とを分けて表示し、さらに事務処理費も分けて表示しています。
 保険料の支払いは、公的年金受給者について年金から特別徴収されています。配偶者等で所得が少ない人が特別徴収されますと、納付した納税者(後期高齢者 保険料は特別徴収された人)からしか所得控除できないため、同一所帯の主たる所得者から引くことができません。このような人は今後普通徴収に変更すること が賢明だと思います。
 「メタボ検診」と言われている特定検診・特定保健指導費も08年4月1日から始まりました。社会保険支払基金の当座口振込通知書に表示されています。こ れは自費扱いですが、自己負担割合が各保険組合で異なり窓口徴収事務も混乱しました。
 減価償却制度も07年に改正され、07年4月1日以後の取得資産とそれ以前の取得資産で償却率等が異なります。4月1日以前の取得資産で残存価額5%ま で償却済みの資産について、1円を残して5年間で均等償却することが今年から始まりました。従来と同じ減価償却計算では間違いになり、前年に比し減価償却 費が増加しました。3、4年後には調整前償却額と償却保証額を比較し、償却費のやり直し計算をしなければいけません。今から先が思いやられます。
 住民税の寄付金税制が創設されました。いわゆる「ふるさと納税」と言われるものですが、「ふるさと」へ寄付することでその額を寄付金控除の対象とし、所 得税と住民税を一定の計算のもとで控除する制度です。利用者がどの程度だったのかは、まだ統計数字が出ておりませんが、私は1件の処理をすることもありま せんでした。もう少し単純にかつ納税者が損をしない制度にするべきです。
 経済危機の中で株価も低迷し、多くの納税者が株式投資で損をしました。確定申告することで譲渡損を3年間繰越し、以後3年間の株の譲渡益と相殺すること で上場株の譲渡益に課されている所得税と住民税の還付を受ける制度ですが、所得が高額な納税者であれば何ら問題はありませんが、所得が少ない納税者および 控除対象配偶者の場合は控除を受けるために譲渡益を申告しますと控除対象配偶者が失格になったり、国民健康保険料や後期高齢者保険料の算定基礎額が増加す ることになり、所得税の還付額以上に所得税や保険料で不利益になることがあります。譲渡損・譲渡益も高額な所得者のみ有利になります。

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