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税務調査には毅然とした対応を 「お尋ね文書」等にもご注意を

2017.08.25

 税務調査の手続きなどを明文化した改正国税通則法のもと、税務調査の件数は近年減少しています。しかし、国税庁は「ハイブリッド調査」と言われる行政指導と調査を組み合わせた手法により、調査以外の形で納税者と接触する機会を増やしています。従来通り、税務調査は任意調査であり毅然とした対応が必要です。同時に、「お尋ね文書」などによる呼び出しなど、最近の動向も踏まえた適切な対応も必要となっています。

事前通知への適切な対応を1822_03.gif

 

 税務調査は原則として納税者に電話で事前通知されます。税理士に提出する税務代理権限証書には本人への通知が省略されるチェック欄がありますが、通知は本人が受けるようにすることが望ましいでしょう。

 事前通知の内容は、調査を行う旨、日時、場所、目的など11項目にわたります。通知と異なる調査は違法であり、協会の事前通知チェックシート(図)を活用して漏れなく聞き、記録しましょう。また、調査日時は即決せずに顧問税理士や協会と相談して回答するようにしましょう。協会・保団連では、国税局や国税庁に対して文書による事前通知を要求しています。多岐にわたる調査内容を電話で通知されても理解するのは困難であることからも、文書で行われるべきでしょう。

調査当日には毅然と対応を

 調査当日は、税務署員には身分証明書の提示を求め、所属や氏名、調査理由、調査期間などを確認するようにしましょう。「パソコンを見せてほしい」と言われても触らせず、必要な部分のみ印刷して提示するようにしましょう。書類の持ち帰りやコピーを求められても応じる義務はありません。データをUSBメモリなどで持ち帰ろうとすることも必ず断りましょう。納税者の証言・回答を基にした「証拠資料」となる「質問応答記録書」の作成協力は任意です。安易なサイン(押印)はせず、内容を承知した場合でもコピーを渡すよう求めましょう。調査結果の通知・説明を求め、修正すべき事項を納得できるまで話し合いを持つことが大事です。

カルテ開示には応じない

 医師・歯科医師の守秘義務は、医師法・歯科医師法とは別に刑法で課せられている重要な義務です。患者さんの個人情報を含むカルテの開示を求められても応じてはいけません。自費診療収入の額などの会計記録を診療記録であるカルテには記さないように、日常からの注意も徹底しましょう。

「お尋ね」文書にご注意を

 税務署は「○○のお尋ね」といった行政指導文書を送付し、納税者との接触を増やしており、実質的な税務調査につながる恐れがあります。行政指導は法律上「任意の協力によって」実施するもので、応じないために不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。この点に留意して、安易に回答しないように気をつけましょう。

 調査の通知の際にはもちろん、「お尋ね文書」が届いた際にも、まずは協会・税理士にご相談ください。

 

 



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