兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

専門部だより

税経部だより

税経部より インターネットの無料求人広告にご注意
顧問弁護士 野田 倫子

2025.07.05

「無料」と勧誘受け高額請求

 医療機関等の担当者が、「インターネット上で求人広告を無料で掲載しませんか」と電話やFAX等で勧誘を受け、完全無料のつもりで広告掲載を申し込んだところ、後日、「利用規約に定める有料期間移行前の解約の通知がなかった」などとして高額の広告料を請求されるという被害が増加しています。最近では、人手不足に乗じ、介護施設などでも同様の被害が発生しているようです。
 よくある手口としては、広告会社担当者が電話で、「無料期間から有料期間に移行する前には(メールや電話等で)通知します」と説明をするので、これに安心していたところ、何らの連絡もないまま、あるいは、メールは届いたもののメール本文の広告等の内容に紛れて「有料期間移行に関するお知らせ」の記載があり、メール本文を最後までよく読まずに削除すると、後日、有料期間に移行したとして高額の請求書が届くケースです。
 無料を強調し契約に誘導する求人サイトは増加傾向にあり、全国のハローワークや中小企業庁、関係団体が注意喚起しています。

焦って支払わず 諦めずにご相談を

 高額の請求書が送られてきた後に、利用規約をよく読むと、「無料掲載を申し込むと利用規約に同意したことになります」や「無料期間経過前に解約通知をしなければ自動的に有料契約に移行します」との記載に気付くというパターンも多いです。形式的には契約が成立しているかのような体裁を整えて請求してきますが、諦める必要はありません。
 このような場合、医療機関や介護施設などは事業者であることから、消費者保護を目的としたクーリングオフ制度は利用できません。しかし、個別の事情にもよりますが、民法上の錯誤や詐欺にあたるとして文書で通知をすることで、請求が止まる場合も多いです。
 まずは、支払わないという毅然とした態度を示すことが重要です。いったん諦めて支払ってしまうと、後から取り戻すのは非常に難しくなります。相談者の中には騙されたことで自責の念に駆られる方をよくお見かけしますが、騙す側が悪いのです。諦めて支払ってしまう前に、一度、保険医協会や弁護士にご相談ください。
 また、このような悪質な契約トラブルに巻き込まれないためには、サービスの利用を申し込むときには、利用者側からの中途解約の禁止や高額の違約金条項など、利用者側に不利な条項が含まれていないかを事前に確認することや、担当者の口頭説明を鵜呑みにせず、申し込む前に利用規約の内容をよく読み、取引条件をしっかり確認することが重要です。また、担当者とのやり取りや勧誘内容をメールや会話の録音などで残しておくと、後々に争いが生じたときの証拠になります。今後の参考にしてください。

※お問い合わせ・ご相談は、
 電話078-393ー1807税務経営部まで

2106_02_01.jpg
『医師・歯科医師のための知っておきたい法律知識』
ご活用ください

ご注文は、電話078-393-1840まで

勤務医部会だより 共済部だより 税経部だより 歯科部会だより 政策宣伝広報委員会だより 環境公害対策部だより 国際部だより 薬科部だより 保険請求Q&A 審査対策部だより 文化部だより 女性医師・歯科医師の会 融資制度のご案内 医療活動部だより