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【声明】生活保護法改悪案の衆院可決に抗議し、廃案を求める

2013.06.08

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 田村 憲久 様

 

生活保護法改悪案の衆院可決に抗議し、廃案を求める


 「生活保護法の一部を改正する法律案」が、6月4日、衆議院本会議で質疑も行われないまま可決されたことに、強く抗議する。
 「改正案」の内容は、申請時に書類提出の義務付けや、親族への扶養義務を要件にするなど、生活保護の申請を制限している「水際作戦」を合法化するもので、断じて容認できない。一部野党が「修正」により賛成したが、受給を制限する本質を変更するものではなく、「修正」の名に値しない。
 生活保護申請をめぐる「水際作戦」は、生活困窮者が行政の窓口に来ても、生保申請を行わせず追い返すというものであり、悲惨な餓死や孤立死などの死亡事件が何度も繰り返されるなかでその実態が明らかになっている。厚労省の調査では「食品の不足」による死亡は2011年に45件、「栄養失調」による死亡が1700件を超えているなど、貧困の広がりは深刻な事態である。2012年に札幌で姉妹が死亡した事件では、姉が何度も区役所を訪れているにもかかわらず、行政側は「申請」とは認めず、追い返していたことが明らかになっている。これは決して例外的な事件ではなく、全国で起こっている氷山の一角である。
 そもそも日本の生活保護法は、捕捉率が1割ときわめて低く、他の先進国が8割、9割の水準であることと比較しても異常である。今必要なことは、憲法25条に基づいて、生活に困窮する国民が誰でも必要なときに申請できるようにすることである。
 当会は第一線医療を担う開業医師・歯科医師の会として、生活困難者の人権を踏みにじり生命の危機的状況を招く、このような法改悪に断固反対し廃案とすることを強く求めるものである。

2013年6月8日  兵庫県保険医協会第978回理事会



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