この行事案内は、2017年のご案内です。
診療内容向上研究会 第529回
身近な疾患−便秘型IBS治療についての話題−
日 時 | 6月3日(土)17時〜 |
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会 場 | 協会5階会議室 |
講 師 | 順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科 教授 永原 章仁先生 |
共 催 | アステラス製薬 |
IBS(Irritable Bowel Syndrome:過敏性腸症候群)は、排便、便の頻度や形状に関連して腹痛を来すものであり、誰もが経験する症状である。わが国でのインターネット調査でも有病率は13%と高率である。IBSは、便秘型、下痢型、混合型、分類不能型に分けられる。その病態は、ストレスに対する過剰反応により、腸管運動異常、知覚過敏がもたらされ、さらに、腸内細菌、炎症、遺伝などが複雑に交絡していると考えられている。 便秘型IBSの薬物治療は、日本消化器病学会のガイドラインでは粘膜上皮機能変容薬、プロバイオティクス、高分子重合体、下剤が推奨されている。国際的定義であるRomeⅣでは、サイリウム(オオバコ)、ポリエチレングリコール(わが国では大腸内視鏡の前処置にのみ適応)、ルビプロストン、リナクロチドが推奨されている。 2017年3月、リナクロチドが便秘型IBS治療薬として保険承認された。治験結果からは、全般改善度、腹痛・腹部不快感、便形状、便回数ともに改善し、52週にわたる長期投与においても効果が維持された。諸外国と比較して、わが国では保険で処方できる薬剤が限られているが、リナクロチドの承認により、ようやくギャップが縮まったのである。 【永原 記】 |