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阪神・淡路大震災から25年 談話 住民本位の復興求め続ける 

2020.01.25

阪神・淡路大震災から25年 談話
住民本位の復興 求め続ける
兵庫県保険医協会理事長 西山 裕康

 

 阪神・淡路大震災から今年で25年が経過しました。国内史上初の震度7、死者・行方不明者は6千数百名、住宅被害は64万棟にも上り、ライフライン・交通網が大打撃を受けて31万人が避難生活を強いられました。

今年は震災後25年という節目の年であり、記念事業も数多く行われますが、同時に被災者の高齢化も進み、神戸市では市民の3割以上が震災未経験者となっています。震災を風化させず、経験と教訓を継承する新たな工夫が必要となります。

阪神・淡路大震災では、復興事業費の大部分が「創造的復興」の美名を借りて大型公共事業、再開発に投じられました。一方で住民の生活そのものの回復につながる政策は少なく、25年を経過した今でも、「借り上げ住宅」からの追い出し政策、がれき撤去時に飛散したアスベストによる健康被害が、高齢化する被災者の生活と命を脅かしています。

国には、国民の財産を災害から守る責任があります。オリンピック開催を控え、国、自治体、企業は、大規模都市開発に躍起になっていますが、自治体が第一に守るべきは被災者の人権と生活です。例えば、現在でも、災害避難所や仮設住宅では被災者が長期にわたって劣悪な環境での生活を強いられていますが、人権の面から世界基準に遠く及ばないものであり、早急に改善すべき課題です。地域住民にとって「持続可能」な街づくりへ、公的支援の充実と被災者の目線と意思によるケアや生活再建を優先すべきです。

特に近年は、大災害が多発しています。昨年も九州北部豪雨、台風15号、19号、21号など、連続して大災害が続きました。今後も気候変動に伴う自然災害や、南海トラフ地震などの大災害が予想されます。

昨年は改正災害弔慰金法が成立し、災害援護資金の返済免除要件が拡大しました。安全・安心な社会を次世代に残すため、震災の経験と教訓をいつまでも忘れることなく、全国の被災者や支援者と共同して、被災者支援のさらなる充実と住民本位の復興を求めて運動を続けたいと思います。

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